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八重樫 一発KO!V3 9回右カウンター、さあ怪物退治だ

[ 2014年4月7日 05:30 ]

9回、右でサレタを倒す八重樫

プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦 王者・八重樫東 KO9回2分14秒 オディロン・サレタ

(4月6日 東京・大田区総合体育館)
 WBC世界フライ級王者・八重樫東がワンパンチKOで3度目の防衛に成功した。同級8位サレタ相手に序盤は苦しみながら徐々に攻勢を強め、9回に右カウンターを決めて2分14秒KO勝ち。ミニマム級時代を含め初のKO防衛を果たした。次戦は元WBAミニマム、ライトフライ級王者のローマン・ゴンサレス(26=帝拳、ニカラグア)との対戦を予定。プロ39戦全勝(33KO)の怪物とのビッグマッチに乗り出す。

 苦しい試合を一撃で終わらせた。9回、八重樫の右カウンターがサレタにさく裂。立ち上がった挑戦者の足はふらつき、レフェリーは10カウントを数え上げた。「たまたま当たっただけ。最後の4ラウンドが勝負と思っている矢先だった」。王者のはれ上がったまぶたが、激闘を物語った。

 前座では2階級制覇王者ゴンサレスが派手にKO勝ちしていた。V3戦発表時に「次勝ったら挑戦を受けたい」とV4戦の相手に指名した39戦全勝のハードパンチャー。あまりの強さに世界王者たちも対戦を避けてきた強敵に「誰かがやっつけないといけないし、その誰かになりたい」と決意を固めた。しかし“次の次”に控えるビッグマッチが八重樫を苦しめた。「今回は勝って当たり前と思われていた。そういうのが苦手なんです」。松本好二トレーナーはゴンサレス戦まで見据えた強化メニューを用意していたが「目の前の試合に集中したい」と3日で中止。サレタに照準を絞り、足を使う本来のスタイルに磨きをかけてきた。

 試合では、そのアウトボクシングもできなかった。足が動かず、スピードがあるサレタの強いワンツーに苦しんだ。飛び込むような右ロング、内側へ差す速いジャブ、サレタがKO負けした左フックと打った手は、どれも局面を打開できなかった。最後は「腹を打ってつぶす」と覚悟を決め、プレスをかけて打ち合い、KOを呼び込んだ。

 試合後のリングではゴンサレスに祝福された。「こんなボクですが(ゴンサレスと)やってもいいですか?」。王者の問いかけに、場内からは大歓声が降り注いだ。控室では「こんなんじゃロマゴンとか言えねえっすよ」とつぶやいたが、不利と言われる状況で燃えるタイプ。「次はやりますよ。これで八重樫は終わったと思われるかもしれないけど、逆転満塁ホームランを打ちたい」。ニヤリと笑った。

 ◆八重樫 東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手県北上市生まれ。黒沢尻工でボクシングを始め、3年時に総体優勝。拓大時代は国体優勝。05年3月プロデビュー。06年4月に日本人最速タイの5戦目で東洋太平洋ミニマム級王座獲得。11年10月WBAミニマム級王座獲得。12年6月、井岡一翔とのWBA・WBC王座統一戦で判定負け。今年4月にWBCフライ級王者の五十嵐俊幸に判定勝ちして2階級制覇。1メートル60・5。右ボクサーファイター。家族は夫人と1男2女。

 ▽八重樫―サレタVTR 中盤にペースをつかんだ八重樫がKO勝ちした。6回、コーナーに詰めて強烈な左ボディーを浴びせたことをきっかけに、顔面を捉えるパンチが増えた。9回に右のカウンターでぐらつかせ、畳み掛けてダウンを奪うと相手はダメージから立ち直れなかった。サレタは序盤から強打をねじ込んで王者を苦しめたが、中盤以降は勢いが止まった。

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