河野男泣き!有言実行KOで王座返り咲き「たまんないですね」
ボクシングのWBA世界スーパーフライ級王座決定戦が26日、東京・後楽園ホールで行われ、同級2位の元王者、河野公平(33=ワタナベ)が同級1位の暫定王者デンカオセーン・カオウィチット(37=タイ)を8回KOで下し、王座に返り咲いた。4回に右フックでダウンを奪い、8回には右ストレートで勝負を決めた。同王座は昨年12月にリボリオ・ソリス(ベネズエラ)が亀田大毅(亀田)との統一戦で計量失敗によりタイトルを剥奪され、空位となっていた。
狙っていたチャンスを逃さなかった。8回。ペースダウンしたデンカオセーンの顔面に、河野は右、左、右のコンビネーションから強打を打ち込んだ。「この野郎という気持ちでバシッといきました」。うつぶせに倒れた相手は立ち上がることなく10カウント。予告通りの後半決着、そしてKO勝利だ。ベルトを取り返した33歳は「たまんないですね」と言って、男泣きした。
冷静だった。4回右フックのカウンターで狙い通りダウンを奪った。だが、ここで勝負にいかなかった。「後半落ちるから」という高橋トレーナーの言葉を信じてファイターが足を使った。7回までの採点はドロー。37歳の相手が失速した8回に計算通りに仕留め「足を使ったのがはまった」としてやったりだ。
昨年5月の初防衛戦でソリスからダウンを奪いながら僅差の判定で敗れた。負ければ引退を覚悟していたが、試合後周囲から届いたのは「勝ってたぞ」の声ばかり。ビデオを見ると「自分でも勝っていると思った。悔しくてずっと泣いていた」。諦めきれずすぐロードワークを再開した。
ボクシングだけに懸けてきた。河野は自身のことを「つまんない男です」という。独身で、都内の実家暮らし。7年前に日本王座を獲得してからはバイトもしていない。「以前はクタクタになるまで働いていたけれど、節制して練習に打ち込んだ方がいい」。ほとんど外食に出ず、1カ月の生活費はわずか2万円ほど。渡辺会長は「酒も1滴も飲めない。節制しているから、33歳になっても強くなる」と称える。
観客席には現在WBA4位の亀田興毅の姿もあった。大毅が負けて王座保持となった問題で、現在3兄弟は日本ボクシングコミッション(JBC)から事実上の国外追放処分を受けているが、渡辺会長は「JBCとの問題をクリアすれば防衛戦をしたい」と話した。真面目で地味な苦労人王者がビッグネームと対戦する夢も膨らんできた。
◇河野 公平(こうの・こうへい)1980年(昭55)11月23日、東京都目黒区生まれ。東亜学園高では陸上部。00年11月にプロデビュー。07年2月に日本スーパーフライ級王座、同年10月に東洋太平洋王座を獲得。12年大みそかに3度目の世界挑戦で、WBA王座を獲得し、昨年5月の初防衛戦で陥落。右ファイター。1メートル66。
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