猪木氏VS佐竹氏実現せず 小倉氏“乱入”で先送り
第23回参院選が4日、公示された。各党党首、候補者が各地で街頭演説などを行い、21日の投開票に向け17日間の選挙戦が火ぶたを切った。東京・新橋駅では、日本維新の会比例代表のアントニオ猪木氏(70)と自民党比例代表の佐竹雅昭氏(47)の元格闘家候補同士がほぼ同時刻に演説を予告。サラリーマン票争奪決戦として注目されたが、維新東京選挙区の小倉淳氏(55)の“乱入”で直接対決は実現せず、先送りとなった。
選挙戦初日、ビッグマッチのリングはサラリーマンの聖地・新橋。猪木氏は駅東側銀座口で午後0時45分から、佐竹氏は逆側のSL広場で0時30分、街頭演説を公示前日の3日に予告していた。
佐竹氏陣営は、猪木氏の動向を知り場所変更も含め検討したというが、真っ向勝負を選択。猪木氏に先立って、午後0時すぎに到着すると、広場を行き交う男性らと握手を交わすなど、気合十分のウオームアップ。
一方、猪木氏は午後0時半ごろ到着。街宣車がおなじみのテーマ曲「炎のファイター」を高らかに鳴らすと、一気に人垣ができた。車を降り5分ほど握手のあと、マイクを握り「元気ですか~っ」と第一声。逆風下にあることも意識し「元気があれば、維新の風も変えられる。1票の重みをしょって頑張る。1、2、3、ダァーッ」と、まくし立てた。
約11分間。嵐のような速攻。延べ約300人を集め「車を降りただけでこれだけ集まってくれた。こういう渦をもっと起こしていきたい」と、勝ち誇った表情を見せた。
これに応戦したい佐竹氏だが、予定時刻を過ぎても一向に演説を始めない。猪木氏と同じ日本維新から出馬する元日本テレビアナウンサーの小倉氏が、かつてのお膝元で先に演説を始めてしまったためだ。この“乱入”に慌てた佐竹氏陣営は「時間を分けて」と交渉したものの、小倉氏側は「絶対に譲らない!」と主張。佐竹氏は結局“リング”に上がることすらできず、元格闘家対決は“無効試合”に終わった。
公職選挙法では、長時間にわたり同一の場所にとどまり演説することのないよう努力義務が課せられているが、具体的な時間の規定はない。佐竹氏陣営は「こういう場合は譲り合いをするのが慣例だが、こんなのは初めて」。佐竹氏も「しゃあないっすわ」と苦笑するばかりで、ようやく第一声を上げたのは、昼休みを過ぎた午後1時半ごろ。既に猪木氏は立ち去っていた。
結果的に熱戦に水を差す形となった小倉氏。「1、2、3、ダァーッ」と猪木氏に便乗した形で演説を締めた。
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