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村田 8・25デビュー戦は東洋太平洋王者と「挑戦楽しみ」

[ 2013年7月4日 06:00 ]

デビュー戦の相手に決まった柴田(右)と健闘を誓う村田

 12年ロンドン五輪のボクシング男子ミドル級金メダリストでプロ転向した村田諒太(27=三迫)が3日、東京都内で会見し、8月25日に東京・有明コロシアムで日本スーパーウエルター級、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(31=ワタナベ)とプロデビュー戦を行うと発表した。デビュー戦でタイトル保持者と対戦するのはプロボクシング史上初。異例のデビューが決まった村田は会見で意気込みを示した。

 お台場の高級ホテルの大宴会場。ひな壇に上がった村田の顔には、笑みが浮かんでいた。「デビュー戦で柴田さんとやらせてもらえるのは、凄く光栄です。(いきなり王者と対戦するのは)生意気だと恐縮していますが、全力を尽くして頑張りたい」。隣に座る柴田に気後れすることなく、堂々と第一声を発した。

 五輪金メダリストとはいえ、プロデビュー戦でいきなりタイトル保持者と対戦するのは、過去に例がない。柴田とは昨年5月に3ラウンドのスパーリング。柴田によると「(村田に)ボコボコにされた」というが、プロはアマチュアと違ってヘッドギアがなく、グローブも15オンスでなく10オンスと小さい。さらにアマは最大3ラウンド。トップアマでも、慣らし運転をするのが通常のプロデビュー戦だ。

 その不慣れな部分を考慮し、試合はノンタイトル6回戦で行われる。村田は「デビュー戦ぐらい楽させてくれてもいいと思う」と笑ったが、一方で「挑戦する立場として楽しみの方が大きい。僕だったら大丈夫と思って(試合を)組んでくれているので、期待に応えたい」と意欲を話した。

 確かに、周囲の期待の大きさが可能にしたマッチメークといえる。ある関係者は「軽い相手を選んでも、注目してもらえない。リスクはあるが、強い相手がいいということで、決まった」と意図を明かす。73キロの契約ウエートはミドル級リミットの72・5キロを上回っており、柴田が敗れてもタイトルに傷はつかない。村田だけがリスクを背負う危険な対戦だ。

 それでも、村田は「光栄」「チャレンジ」を繰り返した。スパーリングでは最長7回を経験しており、体も「大きくなっている」と言う。14日には米ラスベガスに再び渡り、イスマエル・サラス・トレーナーのもとでプロ仕様のスタイル改造に再び取り組む。

 「はっきりした目標が見えるのは大きい。いい練習ができているので、試合までに自分を高めていきたい」。不安よりも挑むことへの喜び。思えば、ロンドン五輪の決勝直前、村田はリングに向かう通路で笑っていた。

 ◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれの27歳。中1でボクシングを始め、南京都高、東洋大では高校5冠、全日本優勝5度など計13冠。11年世界選手権2位。ロンドン五輪では日本人48年ぶりの金メダルを獲得した。アマ通算119勝(89KO・RSC)19敗。今年4月にプロ転向を表明し、プロテストでは前日本王者の佐々木左之介(ワタナベ)を圧倒してA級ライセンスを獲得した。1メートル82。

 ▽契約ウエート 階級の正規体重とは違う体重で対戦する際に適用される。一方もしくは双方が王座やランキングを保持する場合、正規体重内だと敗れた方が王座を剥奪されたりランクを下げられるため、興行上の理由で正規体重を超えた体重を設定する。王座挑戦権を懸けた王者との対戦や、王者同士のノンタイトル戦で使われる。

 ▽ミドル級 村田はアマ時代はミドル級(75キロ以下)で活躍。プロのミドル級は72・5キロがリミットだが、今回は73キロリミットの契約となった。柴田はミドル級の東洋太平洋王者に加え、1階級軽いスーパーウエルター級(69・8キロリミット)の日本タイトルを保持している。

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