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清水 48年ぶり金狙う!アフリカ王者下しメダル確定

[ 2012年8月7日 06:00 ]

ウーダヒ(右)下し、ガッツポーズで雄叫びを上げる清水(右)

ロンドン五輪 ボクシング男子バンタム級準々決勝 清水聡 判定 ウーダヒ

(8月5日 エクセル)
 男子バンタム級の清水聡(26=自衛隊)が日本勢44年ぶりのメダルを確定させた。5日の準々決勝でモハメド・ウーダヒ(25=アルジェリア)に17―15で判定勝ちして準決勝に進んだ。3位決定戦が行われないため、68年メキシコ五輪バンタム級銅メダルの森岡栄治(故人)以来11大会ぶりに日本人メダリストが誕生した。

 両拳を天に突き上げた。清水はキャンバスに崩れ落ちた。日本勢44年ぶりのメダル。「率直にうれしい」。短いフレーズに喜びを凝縮させた。

 昨年のアフリカ王者との一戦。リードされて迎えた最終3回で勝負に出た。左ボディーで攻勢に出ると、聞こえてきたのはウーダヒの「ウー」といううめき声。「あれが確実に効いていた。休んでいましたから」。同時に相手が頭を下げすぎる反則をとられ、2点が加点。勝負がついた。

 2回戦で波乱があった。アブドゥルハミドフ(アゼルバイジャン)を3回に6度も倒しながら17―22で判定負け。試合後、清水の提訴が認められ判定が覆った。日本勢24年ぶり8強の快挙以上にドタバタ裁定が注目された。それでも清水は「“五輪にボクシングってあるの”と聞かれることが多かったから、ちょっと有名になってうれしかった」と前向きに捉えた。

 中学3年で始めたボクシング。岡山・関西高卒業時にはプロ転向を勧められた。破格の金額を提示されたことも「世界戦のマッチメークをするから」と口説かれたこともある。注目度の低いアマチュアにとどまったのは五輪に出るためだった。観戦していた父・真呉さん(59)は「中学生の時に“オリンピックに出たい”と作文に書いていた」と明かした。

 初出場の08年北京五輪はフェザー級(54~57キロ)で1回戦負け。ロンドンでメダルを狙うため、09年に長身(1メートル79)のアドバンテージを生かせるバンタム級(52~56キロ)に階級を下げた。より過酷な減量にも耐えた。09年には脱臼癖のある左肩を手術。全てはロンドンのためだった。

 頂点まであと2つ。日本勢の優勝者は64年東京五輪で、今年1月に死去した桜井孝雄氏が最後。同じバンタム級でチャンスを得たのも因縁か。「支えてくれた周りの人に金メダルで恩返ししたい。日本人は強いという誇りを見せる」。快進撃のゴールは48年ぶりの金メダルだ。

 ◆五輪での男子ボクシングのルール

 ☆階級 17階級(ミニマム~ヘビー級)から行われるプロとは違い、ライトフライ級(46キロ~49キロ)からスーパーヘビー級(91キロ超)までの10階級で行われる。

 ☆用具 ヘッドギアを着用し、10オンスのグローブ(プロは8オンス)を使用。

 ☆競技 プロは最低でも3分4回だが、3分3回で行われる。5人のジャッジ(プロは3人)が有効打をカウント。ダウンは加点されず、合計点で勝敗が決まる。同点の場合は、ジャッジ5人のスコアで最も多く得点した選手が勝ち。さらに同点の時はジャッジ5人の過半数で決まる。

 ☆RSC 明確な実力差や一方的なダメージを受けていると判断された時、また負傷により競技続行が適切でないと判断された場合は、レフェリーの判断で試合を止めるRSC(レフェリーストップコンテスト)が適用される。

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