球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

クリントン氏「カブス命」は演出⁉

[ 2016年10月30日 05:30 ]

 米大統領選挙投票日は11月8日(日本時間9日)。選挙運動が追い込みに入った1週間前、民主党候補ヒラリー・クリントン氏の面白い写真がネット上に流れた。右手に紙コップを持ち、左手でスマホをかざしたクリントン氏が画面を見て目を丸くし「オー!」と大口を開けて驚いている。写真説明は「カブスのワールドシリーズ進出を知って」。クリントン氏の広報担当ニック・メルリ氏の投稿。他に説明が一切ないのが意味深長だ。

 クリントン氏はシカゴ生まれ、子供のころからカ軍を応援していた。カ軍以外のチームを応援することなど「神を冒涜(ぼうとく)するようなもの」とまで回想録に書いた。「カ軍命」のはずだった。ところが00年の上院議員選挙ではニューヨークから立候補し、ヤンキースの帽子をかぶって遊説した。「ナ・リーグ球団ではカ軍、ア・リーグ球団ではヤ軍」と苦しい説明。カ軍ファンから裏切り者呼ばわりされた。政治家は「選択の技術者」。票集めのためなら立ち位置を変えるのは珍しくない。しかし、野球ファンは誠実さを求める。「不誠実な政治家」のレッテルは困る。以後、クリントン氏は野球から距離を置いていたようなのだ。

 今カ軍は71年ぶりのワールドシリーズ出場を果たし、108年ぶりの世界一を目指す。そこに出たクリントン氏の写真。「カ軍命」の告白ともとれるが、上院選挙の時のヤ軍の帽子はやはり票集めの手段だったのか…。細かく説明すると突っ込まれそうだ。そこで短い説明文。解釈は見た人に任せる、ということか。ただし、写真の表情と構図が出来すぎだ。「選挙用の演出写真では」の声もネット上に飛び交う。政治家とは「疑われる人」でもある。 (野次馬)

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