球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

金満補強に氷河期…低迷する「恐竜ヤンキース」

[ 2016年5月8日 05:30 ]

 ヤンキースは“借金8”付近でふらふらだ。「先は長い。5月に“絶対勝たねば”という試合は、普通はない。今季は毎試合がそうなった」と外野手ガードナー。「ケガ人が原因なら復帰で挽回できる。今季は選手全員が実力を発揮していない。見込み違いの私の責任でもある」とブライアン・キャッシュマンGM。新聞各紙は数字を挙げて結果論。チーム打率、本塁打数、得点、投手陣の防御率、失点がア・リーグ東地区5球団中最下位。失策数、守備率も最下位タイ。勝てなくて当然というのだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙は視点を変えた。「ヤ軍の23年連続勝ち越しがチームの重荷」との指摘だ。キャッシュマン氏がGMに就任する4年前から負け越しシーズンなし、その間20回プレーオフに出場し5度のワールドシリーズ制覇を果たした。長い常勝はトップFA選手を買い続け、選手に高給を払い続ける大金で支えられた。

 この間、ビジネス環境が変わり始めた。金満チームの独り勝ちから球界全体で利益を上げようとの流れだ。大金効果を薄める制度変更である。FA獲得には金銭に加えドラフト順位譲渡が加わった。ヤ軍がトレードでの大物獲得にシフトすると相手は金銭プラス若手有望選手を望んだ。ヤ軍のマイナー有望選手は移籍でいなくなった。今季もクリーンアップはロドリゲス=Aロッド(40歳)、ベルトラン(39歳)、テシェイラ(36歳)、上積みできるのは年齢だけの昔の顔。生存環境が変わった中でほそぼそと生きる恐竜ヤンキース。

 14日(日本時間15日)のホワイトソックス戦はAロッドの日で先着1万人の子供たちにバットを贈るが、主人公は不在だ。右脚の故障で故障者リストに入ってしまったのだ。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る