球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“チャレンジ強者”ヤンキース…その裏には名人が

[ 2016年4月24日 05:30 ]

 ビデオ判定が導入され今季は3年目。チャレンジの巧拙が勝敗に影響する度合いが増えてきた。ヤンキースはビデオ判定が始まって以来、ビデオ判定要求(チャレンジ)をして判定を覆した通算勝率が77・6%のトップ球団だ。2位のマーリンズが65・5%、全球団の平均は52・2%だからヤ軍の高率はずばぬけている。なぜか、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

 「ビデオ判定に関わる映像情報は両チーム同じ。しかし、それを見てチャレンジするかどうかを判断する人間の能力で差がつく。我がチームには名人がいる」とアンドルー・ミラー投手。名人の名は、ブレット・ウィーバー氏(39)、98年のドラフトでヤ軍の14巡目指名の投手出身だ。1Aで肘を故障し、引退後に株取引の情報分析技術を習得した。「好きな野球に生かせる技術」とブライアン・キャッシュマンGMに声を掛けたところ09年に呼び戻された。5年ぶりの古巣への復帰だった。そしてビデオ判定が始まった14年からはリプレー映像分析の専門家になった。

 ビデオ判定に関わる機器はホーム、ビジターともに同じで、幅76センチ、高さ38センチのモニター・スクリーン2台。ここに球場に設置された15台のカメラの映像が流れる。ほとんどのチームが判定へのチャレンジ判断情報をコーチがモニター・スクリーンのあるクラブハウスに行って画像を見て、ベンチに戻り監督に伝えている。

 ヤ軍は「ビデオ室のウィーバーから電話がある。私は彼の判断に従うだけだ」とジョー・ジラルディ監督。投手時代の経験からプレーの見やすい場面の選択が早く審判の判定の正誤をすぐ見分ける。FA獲得に大金を使わなくなったヤ軍だが、地味な新職種への投資。他球団も後追いしそうだ。 (野次馬)

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