球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

Rソックス・オーナー主導の“伝統回帰”…効果やいかに?

[ 2016年4月3日 05:30 ]

 開幕を前にレッドソックスのジョン・ヘンリー・オーナーが今季の戦い方についてメディアに話した。「これまではあまりにデータに頼った野球をしすぎた。今季はデータ利用を少なくし、伝統的な野球で戦う」。レ軍は、02年に野球記録研究家で長年データ分析の“年鑑”を出版して記録オタクに人気のあったビル・ジェームズ氏を特別顧問に招いた。以来“データ野球”はチームの柱だった。その方針の転換だ。「直近4年の成績を精査した。勝利は1度(13年ワールドシリーズ制覇)、後の3年は最下位。変化が必要になった」。

 レ軍はジェームズ氏を雇ってから3度ワールドシリーズに勝っている。方針変更は時計の針を戻すようなもの、と疑問の声が上がる中、殿堂入り老記者のコラムがユニークだった。「チーム成績とデータ利用は関係ない。データ野球が球界にもたらした最大の変化は何か。それはGMの移動の激しさを生んだこと」という皮肉な指摘だ。昨季から今季にかけてだけでも6球団のGMが動いた。GMを動かせない球団は新ポストをつくってデータ分析専門家を呼び寄せた。野球への新しいアプローチ手法がGMシャッフル時代を生んだのだ。

 レ軍の方針変更は「成績不振にいら立つオーナーがちょっと変えてみよう、とタイガースで解任された伝統派GMを雇ったからにすぎない」と老記者はみる。「オーナーの思い付きで方針が変わるのは球界の伝統だ」と。

 近年ワールドシリーズ勝利チームが昨季のロイヤルズをはじめ、カージナルス、ジャイアンツと伝統派球団ばかりなのにも影響されたようだ。レッドソックスの伝統野球復活、オーナーの思惑通りに進むだろうか。 (野次馬)

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