球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ブルージェイズ“走路”改修で米基準球場に一歩前進

[ 2016年3月20日 05:30 ]

 天然芝で空が見えること。これが大リーグ球場の最低条件。この基準を満たしていないブルージェイズのホーム球場ロジャーズ・センターがささやかな改修を始めた。走者の“走路”にあたる部分の人工芝を切り剥がし土に入れ替える工事だ。

 13球場が人工芝だった80年代にプレーしたOBたちは「それだけでも選手の負担は軽くなる」という。コンクリートの上に人工芝を貼った硬いグラウンドで膝や腰を痛める選手が続出した。当時は野球とフットボールなど他競技と併用できる多目的競技場が全盛だった。見た目がきれいで酷使に耐える人工芝は、体への負担を訴える選手たちの声をよそに、経済的効率の良さから一気に広まった。

 流れが変わったのは92年、オリオールズの古典調の新球場誕生から。最高のプレーを最高の舞台で…を合言葉にフットボール球団も専用競技場を建て始めた。全てを豪華にして入場料大幅アップの商法に、人工芝は消えていった。

 ロジャーズ・センターは北米初の開閉式ドーム球場で築27年、プロフットボールと併用のため人工芝の部分切り取りの“改良”すらできなかった。フットボール・チームが新競技場に引っ越し、ようやく大リーグ基準球場に一歩踏み出し、2年後には天然芝に切り替えたいとしている。

 となると最低基準以下の球場は、テント式密閉屋根で空が見えず人工芝のレイズのトロピカーナ・フィールドだけ。「心配無用、いずれ本拠地をキューバのハバナに移す」との噂が野球記者たちのブログに散見する。キューバ野球をのみ込もうとしている大リーグだから多少のリアルさはあるが、国外移転と天然芝とどちらが先になるのやら…。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る