球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“名家”グリエル兄弟も流失…キューバ野球大打撃

[ 2016年2月14日 05:30 ]

 キューバのグリエル兄弟(ともに内野手)がドミニカ共和国に遠征中の代表チームから姿を消した。米国のメディアは「キューバからの最新の亡命」と報じた。キューバ政府は「カネに屈した恥ずべき行為」と不快感を表明した。兄ユリエスキ(31)、弟ルルデス・ジュニア(22)が昨年、DeNAと来日問題でもめたのは、亡命の準備でもしていたのか、と想像したくなる成り行きだ。

 米国とキューバは半世紀もの断絶から国交を回復したが、選手移動に関する協定の話は進んでいない。現在、大リーグ機構(MLB)にはキューバ亡命選手を対象にした獲得規則がある。兄ユリエスキは「年齢23歳以上で、キューバで5年以上プレー実績があればFA扱い」で、どの球団とも自由に契約可能。弟ルルデスは少し面倒で“国際契約金規則”が球団に適用される。22歳以下の選手と契約した球団は契約金と同額をMLBに納める“税金”が発生する。さらにエンゼルス、ヤンキースなど5球団の契約金は30万ドル(約3400万円)以内…など、金満球団への制限や契約金抑制などさまざまな規則がある。当然、弟は10月19日の23歳の誕生日でFA扱いになってからの交渉になるだろう。

 一方でキューバ球界には大打撃。直近2年で国内16球団から150人もの選手が国外に去った。選手月給が40~200ドル(約4480円~2万2400円)では無理もない。グリエル一家は代々キューバ政府と球界に忠誠を誓ってきた“野球の名家”だ。亡命のショック度は大きかった。国際化とは、カネのある国に才能が流出することでもある。キューバ野球のレベルはがた落ち、球界は流出の痛みに焦るばかり。 (野次馬)

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