球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“球界内権力”上位のカージナルスには物言えない?

[ 2016年1月17日 05:30 ]

 先週、ヒューストン連邦地裁でアストロズのデータシステムに不正侵入したとして5つの罪で起訴されていたカージナルス前スカウト部長が「愚かなことをした」と全ての罪を認めた。判決はカ軍本拠地開幕日と同じ4月11日に出る。最高刑なら禁錮5年、罰金約3000万円になる。

 前部長はア軍のシステムに不正侵入した理由を、上司だったGM補佐がア軍GMに昇進移籍したことで「カ軍の情報が持ち出されていないか調べるため」と言った。FBI(連邦捜査局)が前部長を逮捕した昨年7月、カ軍は前部長を解雇し、「球団はFBIの捜査に協力してきた。不正侵入に球団は関与していない」と声明を出した。検察は前部長がア軍に与えた金銭的損害は約2億円に及ぶとみる。本当に前部長の“単独犯行”だったのだろうか…。

 カ軍の本拠地セントルイスの新聞は「大リーグ機構(MLB)の調査は判決後に始まる。球団の処罰問題が浮上するのでは」と危ぶむ。カ軍は球界内権力序列では常に上位だ。ヤンキースに代表されるア・リーグより24年前にリーグを結成したナ・リーグの名門強豪球団。加えて歴代オーナーの堅実な経営は他球団のお手本と一目置かれる。

 トレード情報などの流出で多数の球団が迷惑を被ったのに、カ軍を表立って非難する球団はなかった。被害者のアストロズも「法廷での被告の証言通り、我々のデータにはカ軍の機密データは含まれていない。我が球団はデウィット氏(カ軍オーナー)とカージナルスに常に敬意を払っている」とコメント。カ軍のパワーが垣間見えた。

 MLBの処罰は、罰金あるいはドラフト指名から除外では、と地元紙は予想するのだが、どうなるだろう。 (野次馬)

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