球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

LA市民70%が見られないドジャースの試合中継

[ 2016年1月10日 05:30 ]

 マイク・ピアザ氏の殿堂入りは古巣ドジャースには朗報のはずだが気まずい空気が漂う。ピアザ氏は、殿堂に飾る表彰レリーフの帽子にメッツを選んだ。ドラフト62巡目指名(全体1390番目)から強打の捕手に育てた古巣に背を向けたのは、前オーナー会社が98年に決めた放出への怒りだ。マーリンズに追い出され、8日後にはメッツに再トレードされた。

 ファンとチームの関係もかつての「ドジャース一家」の親密さが消えた。原因は本拠地ロサンゼルスの70%の家庭で試合中継が見られないため。ド軍と25年、約7400億円の中継権契約を結んだメディア会社の有料ケーブル局への提示配信料が高過ぎた。多くの局が取り扱いを拒否し、家庭に試合が届かない異常状態が3年目に突入する。観客動員は3年連続トップでも、中継なしは大問題。大リーグ機構も「テレビ局間の争いに口は出せない」と頭を抱える。

 新オーナー会社になって4年。ド軍は3年連続選手年俸総額1位になり、3年連続地区優勝を果たしたが、ワールドシリーズには88年の制覇を最後に出場できずにいる。王者になればケーブル局の配信料受け入れの突破口になるかもしれない。だが、FAになった投手陣の柱ザック・グリンキー(19勝3敗)は同地区のダイヤモンドバックスと契約した。年俸40億円の6年契約では高額年俸選手を多数抱え大リーグ機構に納める「ぜいたく税」に悩むド軍には引き留めきれなかった。

 「中継権料頼りの金権野球でつまずいた」とメディア。投手陣の補強は前田健太だが、名門の難しいシーズンにぶつかってしまった。 (野次馬)

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