球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

メッツもマーフィーも賭けに出た!これぞ本場FA

[ 2015年11月22日 05:30 ]

 FA交渉での注目は、メッツのダニエル・マーフィー二塁手(30)だ。ポストシーズン新記録の6試合連続本塁打でメ軍をワールドシリーズに導いた。ところが大舞台で苦手の守備でチームの足を引っ張った。メ軍にはマイナーに有力二塁手がいる。FAになるマーフィーを引き留めない、と思われたが、今季年俸の倍、1年1580万ドル(約19億4300万円)を提示した。「打撃だけの選手に法外な年俸。メ軍は賭けに出た」(ニューヨーク各紙)。

 大リーグはFA資格を得た選手は「宣言」なしで自動的にFAだ。ただし球団が残したい選手には1年契約を提示する、クオリファイング・オファー(QO=引き留め提示)ができる。マーフィーも勝負に出て、この提示を蹴った。「1年契約でこの年俸。複数年契約でいくら出す」との他球団への問いかけだ。応じるのは指名打者制度のア・リーグ球団に限られるはず。ネックは「引き留め提示」されたFA選手を獲得した球団は、旧所属球団にドラフト指名権を譲らねばならないこと。近年の契約金制限制度でチーム補強の大黒柱になった指名権をメ軍に譲って高値の複数年契約でマーフィーを買う球団があるのかどうか。

 2013年オフ、スティーブン・ドルー内野手はレッドソックスの17億円のQOを拒否してFA市場に打って出た。しかし、思うような契約提示はなく、14年5月にレ軍と拒否した提示額より安い年俸で再契約、7月にヤンキースに放出された。メディアは「第2のドルーになりかねない」と厳しいFA交渉を予想する。ただし、QO制度は12年から始まったが、大半は拒否。「FA宣言残留」を球団が認めない、と泣く日本のFAに比べ、本場FAは退路を断ってイチかバチかの戦闘モードだ。 (野次馬)

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