球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

軍関係者のセレモニーはカネを払った愛国主義?

[ 2015年11月8日 05:30 ]

 プロスポーツの試合前のセレモニーに軍関係者が登場することは珍しくない。中東から帰還した兵士の始球式、国歌斉唱、軍楽隊の演奏などだ。国を守る兵士たちをヒーローとして遇する伝統を持つ国ならではの感激シーンだが、この愛国的行為が金銭を払っての「参加」だとしたら…。そんな内幕を3大テレビネットワークの一つ、ABCテレビが報じた。

 常識的に考えれば、軍に感謝してチームが招待するものと思われるが、各種プロスポーツの50を超えるチームがこうしたセレモニーで軍から「参加費」を得ていたらしいのだ。それが「カネを払った愛国主義」と連邦議会で問題になった。大リーグに限ると、国防総省がブルワーズと契約して3試合の始球式を金銭(税金)を払って行ったという。「問題はこうした愛国心にかかわる行動が納税者の金銭を使って行われ、すべての行為を安っぽくしてしまったことだ」と共和党上院議員。そして国防総省にプロスポーツチームと結んだこの種の契約すべてを明らかにするよう要求した。

 ABCテレビ入手の文書によると契約数は72に達し、使われた金額は600万ドル(約7億3800万円)にもなった。軍から金銭を取っていたと名指しされたチームは驚いた。「そんな請求は出していない」。愛国的行事にかかわるマーケティング契約の一部に含まれていたのでは、と弁明した。ブルワーズも「男女を問わずセレモニーに参加してくれる兵士は無料なのがチーム方針」。各チームは、もし金銭を取っていたのが判明した場合は全額を国防総省に返還する、と連邦議会に伝えた。

 「式典参加費」徴収は拙いが、逆にチームが軍に謝礼を払え、にならないか…。余計なことが気になった騒動だ。 (野次馬)

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