球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

上から目線のフィリーズGMよ“ファンと共にあれ”

[ 2015年5月31日 05:30 ]

 放言、失言で批判され、慌てて謝罪はよくある話。選手に多い失敗だがフィリーズのルーベン・アマロGMがやってしまった。本拠地フィラデルフィアのネット・メディアに「ファンは野球が分かっていない。我々の仕事はファンのご機嫌取りではなく、時間がかかる選手の育成によるチームづくり。ファンはその成果を待って観戦し、楽しむのが野球の順序」と話した。これがファンを軽んじる発言と騒動になった。

 フィリーズは最下位争いと苦戦中だ。ファンは2Aで好投の昨年ドラフト1位投手の昇格を熱望する。今季、早めに昇格させた若手の活躍で活気づくチームが目立つのに影響された“球界気分”。GM就任3年間で3度の地区優勝、ワールドシリーズ出場1度と順調だったアマロGMだが、4年目に勝率5割に落ち、それから2シーズンの若返り策が失敗して連続で負け越した。立て直しを焦るGMと待てないファンの感情が衝突した。

 「言葉の使い方が不適切だった。おわびする」。ぶっきらぼうな謝罪に地元紙が教え、諭した。「プロスポーツ界の人間のタブーはファンとの対立だ。選手、監督、フロントはもちろんオーナーに至るまでファンと争うのは厳禁のはず。絶対、勝てないからだ。ファンと共にあれ」

 アマロGMは、親子2代でフィリーズでプレーした土地っ子だ。地元への甘えとGMスタート時の成功意識が生んだ“上から目線”の発言だったろう。「出だしの好成績は前GMパット・ギリック(現球団社長、殿堂入り)の遺産、とファンは見る。ファンとはファインプレーは数日で忘れエラーはいつまでも覚えているものなのだから」。このアドバイスは、なかなかだ。 (野次馬)

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