球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

複雑怪奇…「戦力均衡指名権の買い取り」って何だ?

[ 2015年4月19日 05:30 ]

 ドジャースが奇妙なトレードをやった。オリオールズから救援右腕ライアン・ウェブをマイナー選手2人と交換で獲得した。ところが4日後に解雇、ウェブの今季年俸275万ドル(約3億2700万円)を保証してのことだ。ロサンゼルス・タイムズ紙が「種明かし」をした。「ド軍の狙いは、6月のドラフトでオ軍が持つ74巡目の戦力均衡指名権とそれに付く契約金。それを買った」

 大リーグのドラフトは近年、成績逆順指名の単純なものではなくなった。成績に加え、前年のドラフト指名選手の入団状況、FAを獲得したかどうかなどで指名順が変わり、球団の成績順位で使える契約金額も制限される。指名順の間にFA補償指名枠が割り込み(今年は、27~36巡目指名)、さらに戦力均衡指名が2度差し込まれる(37~42巡目指名と71~75巡目指名)。選手年俸総額3年連続1位、ナ・リーグ西地区連覇のド軍はこの金満球団抑制規則に阻まれ、トレンドの若手選手によるチームづくりに苦戦中。

 目を付けたのが資金力の乏しい球団が持つ戦力均衡指名権の買い取りだ。権利売買は規則で禁止されているが、選手とのトレードは可能。ド軍が放出した2人のマイナー選手の「真の交換相手」は74巡目指名権とそれに付く82万ドル(約9800万円)の契約金で、買値が不要の中継ぎ投手ウェブの年俸だった。ド軍は低く抑えられた新人選手契約金枠にこの82万ドルを加えることができた。とはいえ、財力に乏しい球団への優遇措置まで買い取る金満球団とは…恐れ入った。

 ちなみに、ウェブは解雇された翌日にインディアンスとマイナー契約、これもド軍の筋書きではなかろうか。 (野次馬)

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