球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

引退しても主役!?ジーター氏スクープで1勝

[ 2015年4月6日 05:30 ]

 「この冬、ドミニカ共和国の自宅のドアを朝7時半に叩かれた。監視カメラをのぞくとブリーフケースを持った男が2人。ケースの中身は尿採取のカップと採血の注射だ。ドーピング検査でコロラド州から来たという」。新ウェブニュース「ザ・プレーヤーズ・トリビューン(PT)」に寄せられたレッドソックスのオルティス怒りの告白の書き出しだ。

 PTは昨季限りで引退した元ヤンキースのジーター氏が立ちあげた報道サイト。野球だけでなく他競技の有名選手も寄稿している。オルティスは03年にドーピング規則をつくるための予備検査で陽性反応が出たことを09年になって新聞に暴露された。以後「インチキ選手」としてメディアに不当に扱われたと怒る。「あの検査の後、大リーグ機構からOKの薬とノーの薬の指示が出た。俺は04年以降、年に7、8回、これまで80回以上検査を受けたが、一度も陽性はない。テスト回数が多いのは新聞の暴露で狙われたのだ。00年代は栄養補助薬品の時代、メキシコに行って怪しげなヤクを買ったわけではない。ドラッグストアで買ったものだ」。一言居士のオルティスならではの率直さで実に面白いスクープ。

 PTに告白がアップされた数時間後には全米メディアが後追いしたという。最も早かったのがボストン・グローブ紙電子版。30分後には同様の記事で追いついた。事前にオルティスに取材し、5日(日本時間6日)の大リーグ開幕特集用に温めていたのだ。「ヤフーに出るか、スポーツ専門局ESPNは大丈夫か、と毎日気になっていた。まさかジーターの報道サイトとは」とガックリの同紙デスク。開幕を前に既存野球メディアに強力なライバルが現れた。(野次馬)

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