球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「変形シフト禁止」どこまで?なぜ?本気なの?

[ 2015年2月1日 05:30 ]

 ロブ・マンフレッド新コミッショナーが就任して1週間になる。主要メディアを回って施政方針を話しているビデオ・ニュースを見て「本気なのか?」と首をかしげた。近年の投手上位で増えた少得点試合を“是正”するため「変形守備シフトの禁止を検討する」というのだ。得点の少ない試合はファンに不評、守備位置移動や確認で時間がかかる、というのが禁止の理由だった。すでに昨秋のGM会議で禁止に向けた入り口の話し合いを始めていたらしい。

 果たしてメディアからかみつかれた。変形シフトが増えたのはここ数年だ。野球データ分析の草分け的存在のビル・ジェームズ氏によると昨季、変形シフトが採られた回数は大リーグ全体で1万3296回、これで防いだ失点は195点、1チーム年平均6・5点ほどだ。変形シフトがまだ珍しかった10年前、2004年のチーム平均得点と比べて減った得点は5%にすぎないという。「しばらくデータを集め状況を見るべき」という早急な禁止への反対論である。

 数字を出されると説得力があるが、もっと単純なところで「禁止はおかしい」との声が並ぶ。どれほど守備位置を移動させたら駄目なのか。チームがリスクを背負ってやる作戦の禁止が可能なのか。「これでは投手に変化球を投げるのを禁止するに等しい」と痛烈だ。

 新コミッショナーの当面の課題は、前コミッショナーがやり残した課題の処理だろう。レイズ、アスレチックスの新球場問題、国際ドラフト、ユニホームへの広告ロゴ問題…など。グラウンドのことはジョー・トーリ(元ヤンキース監督)専務理事に任せておいた方がよさそうだ。 (野次馬)

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