球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“剛腕健在”右投手最高額の契約勝ち取ったボラス氏

[ 2015年1月25日 05:30 ]

 スコット・ボラス代理人が得意顔で記者会見に並んだ。タイガースからFAとなったマックス・シャーザー投手がナショナルズと7年総額2億1000万ドル(約247億8000万円)で契約した発表の席。右投手で史上最高額の契約を勝ち取り、ボラス氏の久しぶりの晴れ舞台だった。

 剛腕で鳴らすボラス氏だが、近年その動きはおとなしい。大リーグ機構(MLB)の金満球団へのスター選手の集中を抑え、どの球団にも補強機会が均等になるようにする諸規則の改革に苦戦した。仕掛けたのが100億円規模のギャンブルだ。ボラス氏はシャーザーを説得し、2年前から大型契約獲得を狙った。

 13年、シャーザーは21勝3敗でサイ・ヤング賞を受賞した。タ軍が提示した6年総額1億4400万ドル(約169億9200万円)の契約延長オファーを拒否、1年1550万ドル(約18億2900万円)で残留した。そして昨季18勝5敗、値札を上げてのFA宣言だった。

 ボラス氏の目標は右投手の最高契約、タイガースのバーランダーの7年総額1億8000万ドル(約212億4000万円)の突破だ。バーランダーの契約は30歳のときで、今のシャーザーと同年齢。セールスポイントはバーランダーより314回1/3投球回が少ないこと。バーランダーの通算20完投に対し、シャーザーの通算完投は1試合だけ。肩の消耗が少なく、今後長期の活躍が可能というPRだ。

 2年連続でプレーオフに進出したが、ナ・リーグ地区シリーズで負けたナ軍がこれに飛びついた。シャーザーは「驚きの契約」と喜び、ボラス氏も「満足できる契約」とうなずく。ワールドシリーズに向け今度はナ軍のギャンブルになった。

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