球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

現役審判「ゲイ」告白 差別撤廃へ反応に変化

[ 2014年12月7日 05:30 ]

 審判歴29年のベテラン、デール・スコット氏(55)が「私はゲイだ」と公表した。ワールドシリーズ、オールスター戦をそれぞれ3回経験している信頼度の高い審判員だが、4大プロスポーツの現役男性審判員では初のカミングアウトだ。

 スコット氏は昨年、同性婚を禁止していたカリフォルニア州法が連邦最高裁で無効とされたのを機に28年間連れ添ってきたパートナーと結婚した。もっともスコット氏がゲイであることは20年も前から選手を含め大リーグ関係者の間では周知の事実。「皆がずっと気を使ってくれていた」とスコット氏も認めている。

 大リーグでは過去に、ゲイのため辞めざるを得なかった選手、審判員がいた。バド・セリグ・コミッショナーは、そうした人たちを顧問とし「ゲイ差別撤廃」の啓もう活動に乗り出していた。スコット氏の告白はその活動の後押しとなった。

 この報道に対するファンの反応がなかなかだ。「野球ファンだから審判員は応援しない。だが、今度は応援する」。「差別が悪いのは分かっている。それでも偏見はなくならない。スコット審判員の勇気ある告白が差別撤廃運動を前進させる」。「前進だって。こんなことが大きなニュースになるようではダメだ。この種の話がニュースにならなくなった時が本当の前進」。

 こんな声が集まったニューヨーク・タイムズで最も読者の共感を得た投稿が「スコット審判員がストライクゾーンをわきまえている限り、誰も彼を気にしない」。状況が確実に良くなっているのが分かる。お次は、現役選手カミングアウト1号が出た時の記事の大きさ。小さな記事になっていればそれが進歩の証明だ。 (野次馬)

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