球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

マーリンズオーナーに向けられる“冷たい視線”

[ 2014年11月23日 05:30 ]

 今季ナ・リーグ本塁打王、マーリンズのジアンカルロ・スタントン外野手(25)が13年総額3億2500万ドル(約380億円)で契約延長した。景気のいい話なのに、メディアの論調は冷たい。ジェフリー・ロリア・オーナーが信用されていないのだ。これまでの経営があざとすぎた。

 美術商のロリア氏は、99年にエクスポズ(現ナショナルズ)を買収した。選手年俸カットで利益をあげ、新球場建設をモントリオール市が渋ると、チームを大リーグ機構(MLB)に買わせて大もうけした。球界が球団削減で揺れた02年のことだ。すぐに手を伸ばしたのがマーリンズの買収。マーリンズのオーナー、ジョン・ヘンリー氏は名門レッドソックスを買収したが、2球団所有は不可。そこでロリア氏は、MLBから無利子の巨額ローンを引き出してマーリンズを買い取った。2オーナーの談合めいた“球団転がし”だ。

 マーリンズは03年ワールドシリーズで勝利した。ロリア氏は高給選手を次々と放出した。年俸総額、成績、観客動員はMLB最低レベルに落ちた。赤字球団にMLBから支給される収益分配金が目当てではと疑われた。この補強費目的の分配金をオーナーが私物化しているとの疑惑も重なり、MLBと選手会から監視球団に指定された。次は「高給選手を集め勝負」とマイアミ市に持ちかけ新球場を建てさせた。勝負は1年だけ、またも主力放出。ファンのボイコット・デモが起こった。

 そんなオーナーだから、スタントンも不安なのか「13年といったらオレが学校に通った期間より長い。難しい決断だった」と一言。メディアもファンも「今度は何をたくらんでいるのか」と警戒の視線を注ぐばかり…。 (野次馬)

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