球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

フ軍再建へ「最高のGM」の“ショッピング”に注目

[ 2014年9月7日 05:30 ]

 ナ・リーグ東地区最下位のフィリーズが前GMのパット・ギリック氏(77)を臨時ながらフロントのトップに迎えた。モンゴメリー最高経営責任者(CEO)のがん手術後の療養期間がチーム再建時期に重なった。そこで引退生活を送っていたギリック球団顧問を引き出した。フ軍は今季で負け越し3年目。年俸順位がドジャース、ヤンキースに続く3位でこの不振、チーム改造は待ったなしなのだ。

 ギリック氏はブルージェイズGM時代にワールドシリーズを連覇して名を上げた。その後2年から3年の「引退生活」を挟みながらオリオールズ、マリナーズ、フィリーズのGMを歴任し、全てのチームを複数回ポストシーズンに導いた。フ軍の08年のワールドシリーズ勝利を手土産に4度目の引退、1969年に地区制になってから最高のGMとして殿堂入りを果たした。「私はショッパー(主婦のように商品をあれこれ見定めてから買う)だ。バイヤー(株の投資家のように攻撃的買いまくる)ではない」というのが成功の秘けつ。

 ベテランを放出し、若手を育て、抜け目ないトレードを組み合わせるチームづくり。野球メディアが注目するのは、その伝統的手法の復活だ。

 ドラフト指名順を30球団の全体での勝率逆順にしたこと、契約金に縛りを加えたこと、FAの選択範囲を狭めるなど、近年は市場規模の小さい球団優遇制度が続く。金持ち球団はスター選手との長期契約を結ぶだけの金縛り。フ軍の苦境もそれが原因だ。「ギリックは賞味期限が過ぎた食材を冷蔵庫から放り出してショッピングにかかるはず」(地元メディア)。伝説の名GM、4度目の復帰も飾れるのか。 (野次馬)

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