球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

メッツは世襲でない新オーナー迎えるべき

[ 2014年7月6日 05:30 ]

 メッツは今季も苦戦を続けている。6年連続負け越しは必至だ。そこに球団経営を揺るがす噂がチーム周辺から漏れ出した。メッツのオーナーグループの中心はフレッド・ウィルポン氏とサウル・カッツ氏の義兄弟の投資家。2人で球団株の3分の2を所有しているが、カッツ氏が「持ち株を売却する」という。大リーグ機構(MLB)はメッツ関係者が外部に球団財政について話すのを禁じてきたが、ファンもメディアも「やっぱり」の思いであるらしい。

 金満球団メッツの財政危機がささやかれ始めたのは、08年に米国金融史上最悪の詐欺事件が発覚してからだった。6兆5000億円もの被害を出したこの事件にウィルポン氏が深く関わり大損をした。「私の失敗とメッツの財政は関係ない」とウィルポン氏は主張したが、09年メッツの選手年俸順位はヤンキースに次ぐ2位。それが急落を続け5年後の今季は21位。大リーグ選手会は「大市場ニューヨークの人気球団の選手年俸として異常な下落」と指摘、ウィルポン氏の球団資金の私的流用を疑い、「注視する」警告声明を出した。

 MLBも手は尽くした。アスレチックスで地区優勝4回、リーグ優勝3回、ワールドシリーズ制覇1回、パドレスでも地区優勝2回のGM歴を持つサンディ・アルダーソン氏をメッツに送り込み立て直しを図っていた。アルダーソンGMはデータを駆使するチームづくりの先駆者だが、新手法もすぐ当たり前になる時代、就任4年の効果はない。ウィルポン氏がカッツ氏に株売却をとどまるよう懇願しているのは、息子にオーナー職を継がせるためと噂は生臭い。世襲でない新オーナーを迎えた方がよさそうだ。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る