球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

マー君 祖父は「恐怖のトム」311勝シーバー?

[ 2014年6月15日 05:30 ]

 ヤンキースは田中の好投で何とか勝率5割以上を保っている。新エース・田中をニューヨーク・タイムズ紙は「トム・シーバーの孫のようだ」と大リーグ史上屈指の大投手を引き合いに出しその投球フォームを分析する記事を掲載した。

 シーバーは1960年代後半から20シーズン、主にメッツで活躍した剛球投手だ。通算311勝205敗、防御率2・86で殿堂入り。「恐怖のトム」と打者から恐れられたシーバーと田中の投球フォームの共通点は、踏み出すステップの幅の広さだ。スポーツ専門局の調査では大リーグ投手の平均ステップ幅は身長の85%程度。ところが田中は身長の110%に近い2メートルを超える。

 ヤンキースOBの完全試合投手、デービッド・コーン氏は「体が低く沈み込み、球持ちが長い。打者により近い位置で投球されるので、変化球は打者の手元で変化し、対応が難しい」という。

 シーバーの「投球は腕や肩だけでなく、体でもっと大きな筋肉の太腿と尻の筋肉を使うべきだ」との持論は有名。投球中のシーバーの右膝にはいつも泥が付いていた。この投法は「ドロップ・アンド・ドライブ(沈み込んでから発射)」と呼ばれる。シーバーが日米野球で来日した時の巨人・堀内恒夫さんの感想は「よほど足腰が強くないとできない。日本人には無理」。それを田中は実現していたのだ。

 2人が重ね合わされるのは、投球回が多いにもかかわらず肘、肩の故障歴がないこともある。シーバーは新人の年に最下位メッツで16勝13敗、防御率2・76だった。となるとマー君の20勝以上がヤンキースのプレーオフへの命綱になったようだ。(野次馬)

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