球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

クロスプレーの魅力残すための“禁止規則”導入

[ 2014年3月9日 05:30 ]

 大リーグの名物プレーに本塁上の走者と捕手の衝突がある。今季は、この体当たりプレーの“禁止規則”を試験的に導入する。捕手は走路妨害せず捕球してからブロックをしたか。走者の衝突はホーム狙いで起きたのか、あるいは捕手を狙って…、判定が難しいグレーゾーンが広い領域だ。

 オープン戦では捕手出身のエンゼルス、マイク・ソーシア監督が何度かこのプレーで抗議しているのが見られる。審判団は話し合い、それからビデオ判定。監督も審判も手探りを続けている。2年前、ジャイアンツのスター捕手バスター・ポージーの大ケガから議論になり規則のテストにこぎつけた。

 ところが規則導入に力を尽くした捕手出身のジョー・トーリMLB副会長は「野球で接触プレーは避けられず、なくすのは非現実的」という。選手協会のトニー・クラーク(内野手出身)専務理事も「選手を守る趣旨は分かるが、運用には要注意。現実的な判定をしないと野球の魅力を失いかねない」という。

 ファンはどう見るか。複数メディアのアンケートは同じような結果だ。衝突プレー禁止賛成が44%、反対が56%。本塁での衝突プレーは好き53%、好きだが、選手をケガから守る規則には反対しない33%。衝突プレーは嫌い14%など。衝突はたびたび起こることではない。ファンはわくわくするが、選手の負傷を見るのは嫌…と健全だ。

 「こんな規則はF1レースでスピード違反チケットを切るようなもの」という選手もいるが、1年間のテストはファンが望むプレーの危険部分を排除して残すための準備期間だろう。衝突プレーは不滅なのだ。 (野次馬)

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