球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

双方に利点 エンゼルスの“最盛期思惑買い”

[ 2014年3月2日 05:30 ]

 エンゼルスのマイク・トラウト外野手が1年1億円(1ドル=100円換算)で契約更改した。2年前に新人王、昨季はMVP投票2位の22歳。「3割、30本塁打、90打点、30盗塁」をマークした選手だから格安だ。

 大リーグでは3年フルシーズン働いた後でないと年俸交渉はできないも同然。3年目で手にする年俸調停権でようやく球団と対等に話し合える。それまではレギュラーでも最低年俸保証の5000万円を少し超える程度。3年目大リーガーの過去最高年俸は9000万円だから、トラウトの1億円は「さすが」だった。

 エンゼルスの気前がよかったのは、今季終了後の長期大型契約を視野に入れてのこと。球団ではこのオフの年俸調停、2017年のFA権獲得とトラウトの2度の年俸大幅アップの機会を1度でカバーする契約を望んでいる。トラウト側も故障などの不測の事態を考えれば長期契約はありがたい。来季からの契約は今季いっぱい話し合われるが、双方が目指すのは2020年までの6年契約150億円超。トラウトが29歳になるまでだ。大リーグでは選手のピークは25歳から31、32歳とみる。トラウトが順調ならば、長期契約終了前に2、3年の延長契約を加えれば最盛期すべてを押さえられる。球団と選手、ウイン・ウインの思惑だ。

 田中将大投手(25)のヤンキース7年、クレイトン・カーショー投手(25)のドジャース7年、フレディ・フリーマン一塁手(24)のブレーブス8年…と若い選手の“最盛期思惑買い”がトレンドになった。30歳すぎのFA長期契約大失敗が続いた反動だが、若手に賭ける方が夢があると言うのだろう。 (野次馬)

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