球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

見た目だけじゃない…緩衝材入り帽子に課題山積み

[ 2014年2月2日 05:30 ]

打球から保護する緩衝材入り帽子
Photo By AP

 大リーグ機構(MLB)は、投手の頭部を打球から保護する緩衝材入り帽子の着用許可を出した。数年前からMLBが協力して用具メーカーが開発していた“安全帽子”だ。打球がマウンドに達する時の平均速度は時速133キロ。安全帽子は前面で144キロ、側面で136キロの速さの打球に耐えられる。サイズは前面で1・3センチ、側面で2・5センチ大きくなり、重さも従来の帽子の倍で300グラムほど。

 ところが、投手たちの評判はもうひとつだ。「実用に適さない」というのだ。打球を当て、頭蓋骨骨折で4カ月休んだ経験を持つダイヤモンドバックスのブランドン・マッカーシーは「大きすぎ、通気性が悪い。頭部に違和感が付きまとう。私はかぶらない」と言った。「まるで頭でっかちのスーパーマリオブラザーズだ。カッコ悪い」とツイートした投手もいる。

 頭部の安全より見た目か、と言いたいが、事はそう簡単ではない。近年進んだ画像解析で、投手の投球動作は精緻なメカニズムの組み合わせなのが分かった。投手は長い時間をかけ、このメカニズムを習得し、投球フォームを固める。200グラムでも頭部が重くなるとこの精密運動が崩れるというのだ。

 83年に耳付きヘルメットを導入した時、打者から「耳をふさぐと感覚が狂い打てない」との声が出た。そこでマイナーで使用させ、徐々に大リーグに広げるよう「公認野球規則」に織り込んだ。「安全帽子着用を任意としたのは、今後どう進めるか考えるため」とMLB首脳。MLBではリトルリーグから安全帽子に慣れさせる計画を視野に入れる。安全とカッコよさの両立は簡単ではない。 (野次馬)

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