球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

Aロッド 薬漬け暴露文書公開で自滅まっしぐら…

[ 2014年1月19日 05:30 ]

 162試合とポストシーズンの出場停止を調停人から宣告されたアレックス・ロドリゲス(Aロッド)が、連邦地裁にこの裁定の無効を求めて提訴した。調停人の裁定を最終とするのが大リーグ「協約」の規定だ。法律家は「Aロッドに勝ち目なし」とするが、大リーグ機構(MLB)と選手会とで秘密にすると決めた「裁定文書」がこの提訴で公表されてしまった。MLBとAロッドの関係者がそれぞれテレビでその一部を話したのが原因だ。「“秘密”を双方が破った」と判事は言い、Aロッドが法廷に提出した文書を公開したのだ。

 この文書、3年にわたるAロッドの薬漬けを詳細に暴露して生々しい。2012年だけでもAロッドと薬物売人との53回の電話記録と556通の文書がMLBに押収されていた。錠剤は「ガム」、クリームは「ピンク・フード」、水薬は「スープ」と隠語を決めている。売人からの「君の薬を持っていく」との連絡にAロッドが「薬じゃない、フードだ。相棒しっかりしてくれ」と言い返したりしている。「ホテルでは従業員用のエレベーターを使え。たくさんの目が光っているから」との指示もある。ドーピング検査すり抜けには「尿採取まで、できる限り長時間排尿せず我慢しろ」という売人のアドバイスもある。

 これではバド・セリグ・コミッショナーが「永久追放」を考えたのも当然だ。Aロッドは、自分はMLBの「魔女狩り」の標的にされ「選手を守らない選手会の怠慢による犠牲者」と主張する。「非を認め、出場試合数の軽減を」と忠告してきた選手会は激怒した。MLBばかりか最強の味方の選手会まで敵に回したAロッド。「1年休むのも悪くない」と言いだしたが、自滅の道に踏みだした格好だ。

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