球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

薬物違反問題への不満…新専務理事の采配は?

[ 2013年12月8日 05:30 ]

 大リーグ選手会(組合)の専務理事にトニー・クラーク氏が就任した。先月亡くなったマイケル・ウェイナー氏の後任だ。クラーク氏はタイガースやヤンキースなどで15年プレーしたスター一塁手、選手出身初の組合トップ。労働問題専門家や弁護士が務めてきた重責を組合勤務3年の選手OBが果たせるのか、そんな声も一部にある。

 当面の問題は、薬物違反で出場停止処分を受けた選手の高額複数年契約に対するクリーン選手たちの怒りの処置。今季の50試合出場停止組からジョニー・ペラルタ遊撃手がカージナルスと4年約54億円で契約した。さらにマーロン・バード外野手がフィリーズと2年約16億円、ネルソン・クルーズ外野手も大型契約が見込まれる。「批判は承知しているが、球団は更生施設ではない。チーム強化に必要な選手は獲得する」とカージナルスのジョン・モゼリアクGM。いずれも旧球団が再契約を控えたが、高額契約が待っていた。クリーン選手の不満は当然だった。

 契約選手の名指しはないが「インチキ選手との契約」、「野球をバカにした行為」と数球団の選手会長がツイートした。実はウェイナー前専務理事は「組合は汚染選手を弁護しない」と宣言し、8月に大リーグ機構が13選手に科した出場停止処分受け入れを説得した。

 アレックス・ロドリゲスは「選手会は選手を守らない」と怒って調停で争ったが、ウェイナー氏は「明確な証拠がある」とキッパリ。そして1回目違反50試合出場停止を100試合に強化する案を機構と模索していた。この前任者の遺志をクラーク新専務理事が継いでいくのかどうか、いきなり試金石に直面した。

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