球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ごう慢ルーキー・プイグが情操教育で真のスターに

[ 2013年9月1日 06:00 ]

 チームの危機を救ったのが問題児の新人。大リーグらしくていい話だ。ドジャースは先週のカブス戦の5回、ヤシエル・プイグ外野手を5回で引っ込めた。打率3割4分台を打っている22歳のキューバからの亡命ルーキーをベンチに下げたのは教育のためだ。併殺崩しの滑り込みをしなかった。フライの捕球がぞんざいで、三振してバットを叩きつけた。将来の主砲がこれでは困る。監督とGMは試合後30分もプイグにお説教をした。

 2Aから昇格以来、こんな教育が繰り返されている。才能は凄い。ド軍実況アナ64年のビン・スカリー老は断言した。「打、走、守、送球、長打力の5拍子そろった選手。デビュー7試合でその全てを見せたのは私の観戦歴で彼だけだ」。ド軍の生き字引を驚かせた成績は4本塁打、10打点、外野から走者を2人刺し、敬遠あり、内野安打あり。しかし、プレー態度がごう慢で、遅刻も常習…。

 プイグが昇格した6月初め、ド軍はナ・リーグ西地区最下位。「半死のチーム」(スカリー老)を生意気な新人がよみがえらせた。7月には首位に立ち、4年ぶりのプレーオフ進出はもう間違いなし。

 メキシコに亡命中のプイグとド軍が契約したのは昨年6月。キューバ時代の成績はあいまいだが、ド軍は3日間の練習をスカウトに見させ、7年42億円の契約に踏み切った。かけは当たった。

 プイグは英語がダメで通訳頼りなのだが、その通訳氏がごう慢報道に反論して「7歳の息子の目にがんが見つかった。治療費は彼が出してくれた。妻と私は泣いたよ」と。間違いなしのスター候補、監督、GMがマンツーマンで情操教育をするのはよく分かる。

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