球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLBは“悪臭球場アスレチックス”の汚名晴らせるか

[ 2013年6月23日 06:00 ]

 アスレチックス(ア軍)は昨季最終戦で劇的な地区優勝を果たした。年俸最下位チームのポストシーズン進出は奇跡に近いと称賛を浴びたが、今季は早くも首位争いだ。戦力評価の目安の年俸ランクは少し上がったものの、まだ23位。貧しいチームが金持ちチームを破る痛快な戦いが続くが、気の毒なのがホーム球場コロシアムのお粗末さ。

 築46年で排水設備がダウンする。たまった汚水の悪臭に選手もファンもお手上げなのだ。

 ホームゲームが6試合続き10万人超の観客を集めた先週、とうとう汚水が1階にあふれた。試合後、ア軍も相手のマリナーズも、さらに審判員も、タオルを抱えて2階に上がり、オフで使っていないプロフットボール、レイダースのシャワーとトイレを共用する騒ぎ。

 ア軍は以前から本拠地オークランド市近くのサンノゼ市への移転を認めるよう大リーグ機構(MLB)に申請している。ところがジャイアンツ(本拠地サンフランシスコ)が「サンノゼ市はウチの保護地域」と反対する。バド・セリグ・コミッショナーは特別委員会に問題を丸投げし、4年間もだんまりを続ける。

 世界のIT企業が集まり財政豊かなサンノゼ市はア軍に新球場を提供する、と宣言し球場設計を済ませるなど準備を進めた。ところが一向に動かぬ状況に、「MLBはビジネス活動を妨害している」と連邦裁判所に訴えた。

 MLBには独禁法の適用除外特権があり、市が勝てるかは不透明。強豪なのに“悪臭球場ア軍”の汚名、これがMLB全体利益にかなうのか。「移転を認めろ」とファンと地元紙の支援は熱気を帯びてきた。

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