球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「ファンを興奮させる」報復合戦も豪州に輸出!?

[ 2013年6月16日 06:00 ]

 ぶつけられたらやり返す、大リーグの“書かれざる習慣法”だが、先週のドジャース(ド軍)対ダイヤモンドバックス(ダ軍)は、そんな不文律も超えてしまった。登場人物が多いから要約すると、まずダ軍の投手がド軍外野手の鼻先をかする死球を投げた。これに対してド軍投手がダ軍の捕手の背中にぶつけた。これで報復終了のはずが、ダ軍の投手はド軍の投手の肩の上部に当てた(頭部に来たのをよけた)。もみ合い、つかみ合い、取っ組み合いにパンチと3度のアクションが回を追って激化した。

 退場者は両軍監督にコーチ、選手がそれぞれ1人ずつの計6人。怒りが収まらないのはド軍だった。「ダ軍は習慣に違反した。報復が終了後、またぶつけてきたことが一つ。もう一つが最初と最後の死球が頭部近くに投げられたことだ。選手生命に関わる。これは許せない」。伝統のマッチョ文化の中で“管理された暴力”が「一線を越えた」というのである。

 翌日、両チームは来年の開幕試合を史上初めてオーストラリアのシドニーで行うと発表した。「名誉なことで誇りに思う。オーストラリアのファンを興奮させる試合を約束する」と両軍はコメントした。公式戦輸出はメキシコ、日本、プエルトリコに続く4カ国目になるが、グラウンドで乱闘しても海外市場開拓では手を組む…したたかさ。

 確かに「ファンを興奮させる試合」は保証付きだ。ドジャースのある選手は言った。「報復はまだ終わっていない。終了まで数年かかる」。自軍打者にぶつけた投手の名をノートに残し、数年かけて報復させた監督がいたのが大リーグ。報復合戦も輸出らしい。

 騒ぎから3日後、大リーグ機構は8人に出場停止、12人に罰金を科す処分を発表した。 (野次馬)

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