球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

カブス本拠改修不許可なら新球場に引っ越し?

[ 2013年5月5日 06:00 ]

 外野フェンスの緑のツタで有名なカブスの球場リグリー・フィールドは築99年の歴史的建造物。古い外観を残して近代的に改修するのがカブスの長年の懸案だが、シカゴ市と地域住人の反対で動きが取れないでいる。これにトム・リケッツ・オーナーがキレた。「カブスはビジネスをしたい。現状は博物館の運営だ」と切って捨て、改修不許可なら市近郊に新球場を建て、引っ越すと言う。

 改修計画の最大の争点が左翼と右翼の外野スタンド上端に設置を希望する2基の大型ビジョン。低い外野スタンドから道一つ隔てた住宅街には3、4階の一般住宅が球場を囲む。家々の上階から試合が丸見えで、居住者は屋上に私設ボックス席を造り“ただ見商売”をやってきた。1914年頃に始まった「リグリービル=村」と呼ばれる名所だ。この住人たちが「大型ビジョンは景観を損なう(本音は試合が見にくく商売にならない)。裁判で争う」とビジョン設置に猛反対なのだ。

 球団では1980年代に“ただ見商売”の住民と話し合い、利益の17%を球団が受け取ることで合意した。これが年2億円程度。ビジョン設置で見込む広告収入は20億円超、球団の選択肢は明らかだ。改修とセットの要望が現在30試合しか許可されないナイターを40試合に増やすこと。105年遠ざかっているワールドシリーズ制覇には必須の要望、との球団の主張はもっともだ。

 しかし、地元紙の論評は「オーナーの脅し。カブスがリグリー・フィールドから引っ越せるはずがない」。手がつけられない“文化財”を使いながらの商売、まったく難しい。 (野次馬)

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