球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

国際化を進め黒人を増やす妙案はあるのか?

[ 2013年4月21日 06:00 ]

 この1週間、大リーグ全球場に背番号42があふれた。1947年4月15日、ジャッキー・ロビンソンが黒人差別の壁を突破しドジャースの一塁手としてプレーした。これを記念して全球団で欠番としたロビンソンの背番号42を全選手のユニホームに復活させ、その偉業をしのぶ恒例行事だ。

 バド・セリグ・コミッショナーもお決まりの声明を出した。「今の問題は、アフリカ系アメリカ人(黒人)大リーガーが減っていることだ」。今季開幕ベンチ入り登録に黒人選手が占めた割合は8・5%、昨年の王者ジャイアンツを含む数チームで1人もいなかった。

 球史だけでなく米国史に特筆された人物を生んだ大リーグでこの事態。黒人の権利を守る団体からは「どうした」の声も上がるが、大リーグ一丸で取り組んできた国際化の中では自然な流れだ。中南米諸国は選手の大供給地になり、アジアの野球国もそうなりつつある。大リーグ選手全体の30%が外国人なのだ。

 コミッショナーの懸念をよそに、ファンは現実的だ。有力紙サイトの投書には「私は黒人だが、競争で中南米選手が増え、黒人選手が減っただけ、差別ではない」。「プロ・バスケットボールは大半が黒人選手だが、白人が少ない、などとは言わない。野球はなぜ泣きごとを言うのか」の声。

 それでもコミッショナーは、有識者による黒人選手減少対策を検討する特別委員会を発足させた。国際化を進め、かつ黒人選手を保護し増やそう、との思惑。何だか日本のTPP(環太平洋連携協定)参加をめぐるバラ色論議に似ている。都合よく収まる妙案が出るのだろうか…。

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