球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

公式サイトの有望選手紹介…球団経営には“逆効果”

[ 2018年1月28日 05:30 ]

 スターFAの契約が進まない。ダルビッシュ(ドジャースからFA)もその一人だが、この傾向は年々強まるばかり。その理由を野球記者たちはこう指摘する。「若いGMたちは、目先の勝利を追いスターFAを買うことで、自分たちがつくり上げてきた年俸体系とファームでの若手育成計画が壊されるのを嫌うためだ」

 大物FAは長期契約で大金がかかる。さらに12年オフから始まったFA補強球団に対するドラフトでの締め付け。ドラフト指名権譲渡や外国人選手獲得のボーナス(契約金)が喪失する。実力が証明された(はずの)FA補強の金満球団の新人補強を縛り、財力の乏しい球団との戦力均衡を図る方策である。

 スターFAを抱えるスコット・ボラス代理人は「勝負しない球団が多すぎる」と憤る。「健全経営の球団までが年俸総額を調整する。ドラフト上位指名の獲得選手を育てようとせず、FA直前の大物選手との交換要員に使うのもおかしい」

 マーリンズの経営陣トップのデレク・ジーター氏が主力選手を4人放出しファンから猛バッシングを受けたが、主力放出はチーム立て直しの伝統的手法。ファンが怒ったのは「交換の若手選手にプロスペクト(有望株)ランク10位以内の選手が一人もいない大損のトレード」とみたからだ。パイレーツも同様のトレードで非難が殺到、球団は弁明に追われた。

 大リーグ公式サイトには“有望選手紹介”ページがあり、トップ100人ランクや各ポジション別で10人、各球団30人、今季ドラフト候補200人、外国人30人のランク付けがアップされている。ファンは無名選手の球界内評価が分かり、このデータを基に球団を査定する。ファンサービスの情報公開が球団経営を難しくしたのは皮肉というしかない。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る