球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ブーン氏のヤンキース新監督就任 決め手はデータ分析能力

[ 2017年12月10日 05:30 ]

 放送席からベンチへ。選手引退後、放送席に8年座っていたアーロン・ブーン氏(44)がヤンキース監督に就任した。メディアは一斉に「今の監督の“トレンド履歴”に沿った人事」と報じた。大リーグ監督経験なし。年齢は40歳から53歳の間。そして大学教育を受けた。この3要素にあてはまる現役監督の12人目がブーン氏という。今季ワールドシリーズを戦った、アストロズのA・J・ヒンチ監督(43)とドジャースのデーブ・ロバーツ監督(45)が“流行”の決定打と野球記者たちはみる。ヒンチ監督はダイヤモンドバックスで2年監督経験があり、トレンド履歴と多少違うが、フロント入りした後にア軍監督になった。

 ブーン氏はヤ軍の監督採用面接に「自信があった」という。ワールドシリーズ中継局の解説者は、定例の記者会見と別に出場監督に特別インタビューが許される。ブーン氏は何度もそれを重ねるうちに新時代の監督たちの野球観が自分に近いと気づいた。ア軍のヒンチ監督と話すと「まるで鏡に映る自分を見るようだった」。中継局は解説者に膨大なデータを与える。それを消化し、分析し視聴者に分かりやすく伝える技が監督の必須能力に重なっていた。ヤ軍のハル・スタインブレナー・オーナーは「6人の監督候補者の面接報告の中でブーンの分析の深さ、鋭さ、伝え方の巧みさが群を抜いていた」と言った。トレンド履歴も面白いが、データ野球能力の高さが決め手だったのだ。

 マイナーリーグの監督経験を積んで大リーグ監督という道は先細りだ。データ分析で監督にアドバイスする大リーグのベンチコーチが監督への近道になりつつある。「ブーンは放送席で8年間視聴者のベンチコーチ役をやっていた」との論評。ブーン監督への期待は大きい。 (野次馬)

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