球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

中継ぎのサイ・ヤング賞誕生は時間の問題に

[ 2017年11月19日 05:30 ]

 サイ・ヤング賞は、ア・リーグはインディアンスのコリー・クルバー(18勝4敗=1位投票は30票中28票)、ナ・リーグはナショナルズのマックス・シャーザー(16勝6敗=1位投票は30票中27票)がそれぞれ選ばれた。妥当な記者投票結果だと思う。しかし、今季の投手部門は「奇妙なシーズン」とニューヨーク・タイムズ紙や記録コラム記者たちは指摘している。

 ストライキがなかったシーズンで史上初めて投球回数215回以上を投げた投手が、また、19勝以上挙げた投手もいなかった。先発投手の交代イニングはますます早くなり、勝敗の鍵は救援投手たちに委ねられた。「犯人ははっきりしている。データ野球だ。データの分析は、試合は疲れた先発投手よりフレッシュな救援投手を要求しているとせかす。投げさせ過ぎでの故障をGMに警告する。その結果、投手交代が頻繁に行われ、完投試合は14年の118試合から3年を経た今季は半分の59試合に激減した」(ニューヨーク・タイムズ紙)。投手の分業化はますます進むだろう。

 サイ・ヤング賞が投手の使い方の“変化”で揺れた時期がある。74年、ドジャースのマイク・マーシャルが15勝12敗21セーブで救援投手として初の受賞者となった時だった。だが、クローザーの受賞はマーシャルを含めてこれまでわずか8人。03年ドジャースのエリク・ガニエ(2勝3敗55セーブ)が最後だ。サイ・ヤング賞は、まず先発投手の中から探す…という習慣は“クローザーの時代”が来ても変えられなかった。

 “中継ぎ投手の時代”となった近年、その重要性を指摘する記事の増加は野球記者の意識の変化を示している。ミドル・リリーバー(中継ぎ投手)のサイ・ヤング賞の誕生は時間の問題の気がする。 (野次馬)

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