球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“リスクを恐れない”ジャッキー・ロビンソン博物館

[ 2017年5月21日 05:30 ]

 差別の暴言が止まらない。ブルージェイズと大リーグ機構(MLB)は合同でケビン・ピラー外野手を2試合給料差し止めの出場停止とした。2試合分の給料6066ドル(約67万円)は慈善団体に寄付。MLBからの罰金額は非公開だ。処分は17日の対ブレーブス戦でクイック投球に三振したピラーが叫んだ悪口に同性愛者を中傷する言葉があったためだ。

 「まだ、差別との闘いは続いています。あらゆる差別をなくすための発信の場所として、この博物館を建てるのです」と94歳のレイチェル・ロビンソンさんは言った。4月末にニューヨークで行われたジャッキー・ロビンソン博物館の起工式。球史初の黒人大リーガーのロビンソンが53歳で亡くなって45年、レイチェルさんは夫の遺志を継いで、ロビンソン財団をつくり差別撤廃運動と募金集めを続けてきた。そしてようやく教育機関から向こう3年間約6億5000万円の助成金を得て財団の資金は25億円となり、博物館建設をスタートさせた。MLBも1億円を寄付した。博物館には、家族が大切にしてきたロビンソンの遺品、記念品が展示される。全米各地のファンが所有するロビンソンに関わる品々も寄託により公開したいという。「皆に見てもらうことで、公共財産になるのですから協力してくれるはず」と娘のシャロンさん。

 博物館の運営費はグッズの売り上げの10%でまかなう計画だ。公立の美術館、博物館も運営に苦労する時節柄「大丈夫か」と心配する報道もあるが、シャロンさんは言った。「ドジャースタジアムにできた盗塁する父の銅像が好きです。盗塁はリスクを伴うプレー、私たちの博物館もそうなのです」。開館は19年の春になる。 (野次馬)

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