球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ブレーブス再建の夢打ち砕いた飛びすぎる新球場

[ 2017年5月14日 05:30 ]

 ブレーブスはメディア、ファンの予想通りナ・リーグ東地区の最下位だ。13年の地区優勝を最後に3年連続負け越し。今季も昨年の最下位同様の苦戦は覚悟していた。それでも新球場サントラスト・パークの誕生に合わせ、若手主体でチーム再建の第一歩、と宣言した。そこに想定外の出来事が…。新球場がホームラン量産球場と判明した。

 ブ軍は新球場で13試合を消化し、5勝8敗。問題は成績よりも中身だ。「味方の投手に大汗をかかせる球場」との見出しで、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。「恐ろしくボールが飛ぶんだ。それも相手打者の打球が」と42歳のナックル・ボールの名手ディッキー。ブ軍投手陣のホーム球場での防御率は5・61で30球団最悪。標高1600メートルの高地にあるロッキーズのクアーズ・フィールドが乾燥した薄い空気で本塁打量産球場として名高いが、ロ軍投手陣の防御率は5・14。ブ軍が昨季まで20年使ったターナー・フィールドは投手有利の球場といわれていた。ブ軍投手たちが引っ越した新居は地獄だった。

 ディッキーが今季打たれた8本塁打のうち7本が新球場。26歳のエース右腕タランのホーム先発4試合の防御率は8・14、被本塁打5本。老いも若きもブ軍投手陣は新ホーム球場で粉砕されている。ホーム13試合でブ軍の本塁打は11本、相手の本塁打は倍の21本。このペースが続くと今季81試合のホームで打たれる本塁打は130本になる。

 「球場の外野に立った時、投手は大変だと思った」というのは12年に引退したチッパー・ジョーンズ氏。野茂と新人王を争った内野手でブ軍OBだ。「空気に本塁打の気配を感じた。これなら引退するのではなかった」。むろんジョークだが、ブ軍には笑い事ではない。 (野次馬)

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