球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

チームもMLB市場も救うパイレーツの“原石発掘”

[ 2017年4月30日 05:30 ]

 攻守の柱スターリング・マルテ外野手の薬物規定違反による80試合出場停止で苦戦のパイレーツだが、若手発掘の努力は評判通りだ。26日のカブス戦で南アフリカ出身のギフト・ヌゴエペ内野手(27)を昇格させた。史上初のアフリカ生まれの大リーガーの誕生。南アの野球場内の小部屋に母と弟と住んでいたヌゴエペに目をつけ、イタリアにある大リーグ機構(MLB)の野球アカデミーで守備の才能を確認して1万5000ドル(約165万円)で契約した。初打席初安打した大リーグデビューまで9年かかった忍耐の育成による“シンデレラ物語”。

 パ軍はこの2日前、ヌゴエペと入れ替わりでマイナーに落とした中継ぎのドビダス・ネベラウスカス投手(24)でも球史に一項を加えていた。同投手はポーランドの北、北欧のリトアニア育ちの大リーガー1号、8年がかりでトップまでの階段を上がった。

 パ軍がプロレベルの野球とは無縁の国々にスカウト網を広げたのは経済的な理由から。選手の宝庫の中南米選手やキューバ選手は、金満球団間の競争でパ軍には高根の花。金満球団が見向きもしない野球不毛の国々での原石発掘に懸けた。パ軍は10年ほど前からヨーロッパ、アフリカにスカウトを配置した。オランダ生まれの選手、インドのホッケー選手たちとも契約。成果の芽生えが打のヌゴエペと投のネベラウスカスだった。

 喜んだのがロブ・マンフレッド・コミッショナー。球界の収益増の鈍化は、スポーツ専門局ESPNが大赤字でキャスター、記者100人を一時解雇したのでも分かる。国内市場は限界か?「野球未開の国から大リーガーが誕生すれば、その国は大リーグ熱で燃える」。アフリカ、北欧への市場拡大を夢見るのだ。 (野次馬)

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