球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

トランプ大統領次第で復活 キューバ亡命ビジネス

[ 2017年2月5日 05:30 ]

 キューバを脱出し、大リーグ球団との契約を目指す亡命選手たちを、偽造書類で入国させていたとして起訴されていた代理人とトレーナーの裁判が、マイアミ連邦地裁で始まった。2人が米国に入国させた亡命選手は20人。大リーグ球団と契約した選手たちの契約金総額は約170億円(1ドル=113円換算)で、代理人規則の5%の手数料だけでも約8億5000万円になる。

 もちろん亡命選手が払う金額は、それだけではない。亡命用のチャーター船の渡航費や偽造書類の入手費用がある。米国に直接入国するとドラフト対象選手となるため第三国に渡り、そこに一時居住をして代理人が球団と交渉をまとめるのを待つのだが、この生活費も加算される。「施設、人物が配置され、組織がきちんとできている」(検察)のだ。トレーナーはドミニカ共和国とメキシコでトレーニング施設を運営し、選手が体調を崩さないよう練習を続けさせていた。まるで亡命パッケージ会社だ。

 会社が世話した大物には13年末に5年総額6800万ドル(約77億円)でホワイトソックスと契約したホセ・アブレイユ一塁手がいる。14年に満票でア・リーグ新人王(打率・317、36本塁打、107打点)になったが、亡命用チャーター船の船長に約1800万円払いハイチ共和国に入国。それから空路マイアミに渡った。AP通信によると、亡命会社に14年だけで約6億6000万円払い、まだ数億円の未払い金があるらしい。

 会社の全容は審理で明らかになるはずだが、選手は誰も罪を問われなかった。球団の心配は、オバマ政権が開いたキューバとの交流ドアをトランプ大統領が閉じないかだ。閉じれば、会社は必ず復活するのだから。 (野次馬)

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