球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ダフ屋行為防止 米球界が対策急ぐ シーズン席再契約拒否も

[ 2016年12月25日 05:30 ]

 108年ぶりに世界一になったカブスは、来季の入場料金を平均20%程度値上げする。それでファンともめるなら話は分かるが、今回の問題が複雑なのは「一部ファンのシーズン席の再契約を拒否する」(シカゴ・トリビューン紙)というのだ。長年スタンド上部の2席を保有してきた29歳の男性ファンも球団から「契約延長拒否通告」を受けた。このファンは今季ホーム81試合のうち観戦したのは6試合ほど。残り試合の入場券を全て売る「アルバイト」。日本ならダフ屋、あちらでスカルパーと呼ぶ利ザヤ稼ぎだ。

 「自分が行けない試合の入場券を譲るのは分かる。しかし、販売目的のシーズン席所有と判断できる人物とは契約を打ち切る。応援してくれるファンに入場券を行き渡らせるようにしたい」と球団側。ただ、ダフ屋行為と判断する基準は曖昧だ。こんな問題が起こったのは、ネット販売が広がり全米で入場券が買えるため。カ軍だけでなくレッドソックスやヤンキースなどの超人気球団は法外な値段で売るファンに悩まされてきた。「球団は入場料収入を増やそうと努力するが、適正な値段を考慮している。ダフ屋行為は我々のビジネスの妨害」というのが球団の言い分。カ軍は91年に元ホワイトソックスのエリック・ソダーホルム氏が18席を契約し再販会社を運営していたのを法廷で争い、差し止めを勝ち取っていた。だが、ファン側は「処分は所有者の自由のはず」。

 大リーグ機構(MLB)は球団ビジネスに介入できないが、ファン同士の入場券売買を仲介するオンライン・チケット販売会社スタブハブと契約し、再販価格の把握などの情報収集をしている。カ軍は再契約の拒否を通告したファンの数を明らかにしないが、空席待ちのファンの数は10万9000人だという。(野次馬)

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