球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

メジャーの新人恒例「女装」禁止は必然の流れだった

[ 2016年12月18日 05:30 ]

 新労使協定で、新人選手がチームの一員となるための儀式とされてきた移動時の仮装で、女装が禁止された。チームの絆を強めるため、とはいうもののこうした“儀式”には、「新人しごき」や「いじめ」の要素も多少はある。禁止は“儀式”には触れず、「女装」に限った。「選手は女装、あるいは、女性の衣類を身に着けることを禁止」とし、人種、国籍、性、年齢などによる差別の禁止違反と同等に扱うというのだ。

 今季も、新人選手がウエートレスやバレリーナ、女子体操選手などに仮装して、移動する姿がネットにアップされ、「いかがなものか」との声が上がっていた。大リーグ機構(MLB)でも3年前にバド・セリグ前コミッショナーが、ゲイであることを告白した元大リーガー(近鉄にも1年在籍した)ビリー・ビーン氏を性差別や性的少数者への差別撤廃活動の特別職に任命して、問題解決に動いていた。労使交渉のテーブルに上がった女装禁止条項は即決。ドナルド・トランプ次期大統領が選挙中に過去の女性蔑視発言を暴露され、「あんな発言は運動選手のロッカーでは日常の事」とのコメントにプロフットボールの選手たちが反発した時代の流れもあった。

 各種メディアの報道を見ると、「そう堅苦しく考えなくてもいいのでは」というのは一部で、選手たちはおおむね賛成だ。「かつては軍隊にも似たような習慣があったが、女装に限らず、妙な衣装を新人に強いるのは反対だ」とは海兵隊出身で弁護士資格を持つメッツのサンディ・アルダーソンGM。「モラルの低下を見せる愚かな行為」

 仮装禁止と受け取ったメッツ選手もいて、「クリスマスの子供との交流会にトナカイの着ぐるみで行くのは?…」もちろんOK。 (野次馬)

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