復興へのプレーボール~陸前高田市・高田高校野球部の1年~

12日には地区予選初戦…何とかユニホームそろえて出場へ

[ 2011年5月11日 06:00 ]

壊滅状態の高田高の校舎だが、入学式のこの日、誰かの手によって掲げられた半旗が風に吹かれていた 

 野球部の2、3年生は陸前高田市から約20キロ内陸部にある住田町の町営野球場で午後1時から約4時間練習を行った。12日には春季岩手県大会沿岸南地区予選の初戦で釜石高校と対戦する。練習後には佐々木監督からベンチ入りメンバー20人が発表され、ユニホームが渡された。自宅が津波で流された部員もいるため、卒業生らからも試合用ユニホームを寄付されたという。佐々木監督は「サイズが合わない部員もいますが、何とか数はそろいました」と話していた。

 ≪校門と校舎玄関付近に日の丸が半旗で…≫津波で校舎の3階まで壊滅状態となった高田高校ではこの日、校門と校舎玄関付近に日の丸が半旗で掲げられた。震災では約540人のうち18人が死亡し、いまだ行方が分からない生徒もいる。誰が持ち寄ったのかは不明だが、奥村珠久子部長は「(高田高校の)先生か、近隣住民の方か、自衛隊の誰かが気を利かせてくれたのかもしれない」と話した。市内はがれきが散乱し、自衛隊車両や各都道府県のパトカー、大型トラックなどが行き交う。気仙川沿いでは警察による遺体の一斉捜索が行われるなど、津波の傷痕は消えない。一方では、電気を通すために電線工事を行う作業員の姿も見られ、復興への兆しも見え始めた。

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