桜井克也の球界“人”筆書き

オリックス・福良監督 謎めく“後悔”の意外な裏側

現役時代の意外な“後悔”を口にしたオリックス・福良監督
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 人間は後悔する生き物です。「こうしておけば良かった…」。逆に「こうしなければ良かった…」と思うこともあるでしょう。後悔には様々な種類があると思いますが、球界には特殊な後悔をする人もいるようです。

 「1個くらいバントを失敗しておけば良かったよ」

 今だから言える“失敗願望”。もちろん冗談半分ですが、オリックス・福良監督の後悔です。

 言葉の真意を説明する前に、現役時代を振り返りましょう。宮崎・延岡工から大分鉄道管理局に進み、1984年ドラフト6位で阪急に入団。2年目の86年に122試合の出場で打率・309、12本塁打、44打点を記録し、定位置の座をつかみました。打撃力もさることながら93、94年には2年連続でリーグ最多の犠打数を記録するなど「いぶし銀」のイメージが強いプレーヤー。通算224犠打は歴代28位にランクされています。

 犠打を得意とした選手が「失敗しておけば良かった…」は謎が深まるばかりですが、それを解くカギは打数にありました。福良監督の通算成績に注目してみると、打数の項目に記された数字は「3999」―。プロ野球では4000打数以上から打率が「生涯打率」として記録に残されるため、わずか1打数でそれを逃した形になります。ちなみに犠打を失敗して大台に達していたと仮定すると、通算成績は4000打数1116安打で打率・279。歴代107位に相当します。

 監督自身は複雑な思いでしょうが、個人的には「3999」はフォア・ザ・チームの証明だと考えます。象徴的なのはイチローが当時の日本記録となるシーズン最多210安打を記録した94年。福良監督は主にイチローの後ろの打順である2番打者でした。

 「打席に入ったら、イチローが常にどこかの塁にいるんだもん。アレが前にいたら、自分勝手なバッティングはできんやろう」

 勝つために、点を取るために、イチローとは常に会話していたそうです。二人の間の取り決めの一つが「3球目までに走って(盗塁して)くれ。それが難しいと思ったら、サインで知らせてくれ」だったそうです。得点の確率を上げるため、イチローの走れる環境を整えることを最優先しました。必然的に早いカウントからの打撃を自重し、つなぐために打数が増えない四球を狙いにいったケースもあったでしょう。バントのサインが増えただろうことも想像できます。様々な要因が絡み合って届かなかった1打数―。

 「そうか、イチローのせいや!ワッハッハッハ」

 それならば悔いはない。自己犠牲の男は当時を振り返りながら、豪快に、楽しげに笑いました。

 度重なる故障と戦った現役時代。万全なら…の思いはぬぐえませんが、打数を除き?「悔いはないよ」とさわやかに言い切ります。監督となった今、選手達には悔いを残して欲しくない。やり切ったと言える野球人生を送って欲しいと強く願っています。選手達が全てを出し切れるのであるならば、福良監督は鬼にも仏にもなります。

[ 2018年2月24日 10:00 ]

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