メジャーリーグ歳時記
ダル、なるか8年ぶり勝利 日本投手としてポストシーズン20試合目の先発
レンジャーズのダルビッシュが7日(日本時間8日)に行われるブルージェイズとの地区シリーズ第2戦に先発する。日本投手のポストシーズン先発は1995年のドジャース・野茂英雄に始まり、ダルビッシュのその試合が20試合目となる。しかし、過去19試合は5勝8敗(6試合は勝敗つかず)と負け越している。しかも勝ったのは、07年に2勝したレッドソックスの松坂大輔、08年に松坂が1勝、ドジャースの黒田博樹が2勝を挙げた2年間だけだ。
ダルビッシュは今季、レギュラーシーズン最後の2試合で計13回を投げて1失点、21奪三振と調子を上げており、最終登板後は「日本でもポストシーズンはいいはず。周りが盛り上がって自分も楽しめるので、心配なく良い成績を残せる」と自信の言葉を口にしていた。日本投手8年ぶりの勝利に期待は大きい。
先発投手がどれだけ打者を圧倒したかを数字で示す指標がある。米国で「記録の神様」と呼ばれるビル・ジェームス氏が考え出した「ゲームスコア」というもの。「50点」から始まり、1アウトごとに1点増え、三振を奪えばもう1点足す。4回以降は回を終えるごとに2点を足す。逆にヒットを許すとマイナス2点、自責点1でマイナス4点、自責がつかない失点はマイナス2点、四球ごとにマイナス1点と数字が削られていく。
仮に9回完全試合で全27アウトを全て三振を奪うと114点となる。過去最高は98年、カブスのケリー・ウッドがマークした105点。その試合は9回を1安打無失点で、無四球、20奪三振だった。日本投手最高はレッドソックス時代の野茂で01年5月25日、ブルージェイズ相手に9回1安打14奪三振で99点。2度のノーヒットノーラン(91点、95点)より数字が上だ。これに次ぐのがダルビッシュで、13年4月2日のアストロズ戦。9回2死から安打を許してパーフェクトを逃した試合で、1安打14奪三振で96点だった。
日本投手のポストシーズンに限定すると、最高得点は08年、レッドソックス・松坂のリーグ優勝決定シリーズ・レイズ戦で、7回4安打無失点、9奪三振で74点。2番目は12年、ヤンキース・黒田のリーグ優勝決定シリーズ・タイガース戦で、8回途中まで3失点、11奪三振で68点。ポストシーズンで日本投手が2桁奪三振を記録したのは、この2回だけだ。
ポストシーズンで圧倒的な投球を見せてこそ、真のエース。ジャイアンツのバムガーナーは世界一になった14年に9回4安打完封を2度マークし、88点、87点を叩き出した。ダルビッシュにも80点台の高得点を期待してしまうが、トミー・ジョン手術からの復帰1年目で、球団は慎重。球数も基本は100球以下に制限しているが、その中でどこまで打者を支配できるのか。勝つだけではない。ダルビッシュの「ゲームスコア」にも注目したい。 (奥田秀樹通信員)
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