【大学スポーツ】早稲田スポーツ新聞会

早稲田大学【春季リーグ戦開幕前特集】 最終回 高橋広監督

[ 2017年4月7日 06:30 ]

春季リーグ戦開幕前特集

開幕を前に厳しい言葉が並んだ(C)早稲田スポーツ新聞会
Photo By 提供写真

 いつもの饒舌も、この日は違った。練習量を就任前の倍以上に増やし、選手の取り組みへの手応えを口にしていた高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)。しかし、春季オープン戦には勝敗のみならず、内容に大きな不満を感じている。「力がない」と一言。百戦錬磨の指揮官の目に、現在のチーム状況はどう映っているのだろうか。

 ※この取材は3月30日に行われたものです。

 ◎「歯車がかみ合わない」

――開幕まで約1週間となった今、現在のチーム状況はいかがでしょうか
 うーん・・・難しいですね。いいんだか悪いんだか。きょうの試合で言ったら守備のミスが非常に多かったですよね。8点取られたけどエラー、フィルダースチョイス、フィルダースチョイスとかね。キャッチャーがスローイングをバッターのバットに当てるとか、ファーストが投げないとか、今度投げたら暴投とか。記録に残らないものを含めて10個近くミスがあるんですよね。これでは8点も入りますよね。6点も取って勝てないというのは良くないですよね。逆に昨日みたいにピッチャーが良くて抑えているのに、こっちが2点しか取れない。ちょっと歯車がかみ合わないというか、そういう感じですね。チーム状況としては。

――負けが込んでいますがどう感じていますか
 ピッチャーのローテーションなどいろいろな要素がありますし、相手も社会人だったりしますのでね。ただ、昨日の亜大戦、24日の青学大戦みたいな同じ大学同士の接戦でものにできていないというところがもの足りなさがありますよね。

――初回に先制するものの、そこから追加点が奪えず終盤に逆転されるケースが続きました
 打線も弱いと言えば弱いし、昨日の亜細亜の4番のように一人で打点を稼ぐような中軸になるような打者が見受けられない。単打でつないでいくチームだと思うので、送りバントであったりそつのない走塁であったり。きのうの亜細亜もきょうの立正も非常に走塁にそつがないですよね。ワセダはそこまでの厳しさがないというか。のんびりやってる気がしますよね。

――次の1点をいかに取るかというお話もされていました
 きょうなんかは追い上げるけど並べない。チャンスなのにけん制で殺されてでチャンスをつぶしてしまう。ミスがあったらいけないですね。

――重きを置く守りに関してはいかがでしょうか
 きょうは多かったけど、ピッチャーのリズムなどいろんな要素があるにしても基本的にはボーンヘッドは少ないですし、例えばタイムリーエラーをするとかそういうことはあまりないので、完璧ではないけどそれなりには守れていると思います。ただきょうみたいに連鎖反応じゃないけど、ボロボロとミスが出てくるという。焦りがありますよね。エラーからのフィルダースチョイスの連続なんて、バントで来てるんだからアウトさえ取ればそれだけでツーアウトですよね。焦りがありますよね。

――投手陣の経験値というのは一つ武器になると思いますがいかがですか
 経験と言っても大竹(耕太郎、スポ4=熊本・済々黌)、小島(和哉、スポ3=埼玉・浦和学院)の二本柱ができれば経験値になりますけど、片一方(大竹)は出遅れていますからね。小島だけになると思います。

――となると、先発2枠に入ってくるのは
 小島、柳澤(一輝、スポ4=広島・広陵)ですね。

――この両投手は最近実戦から遠ざかっていますが、26日の東京六大学ー社会人対抗戦で投げる予定だったのでしょうか
 そうそう。雨で社会人対抗戦が流れたんでね。でもこの土日(4月1、2日。Honda戦、日本通運戦)は投げますよ。

――即戦力として期待されている早川隆久投手(スポ1=千葉・木更津総合)の起用法はどのようにお考えですか
 きょうのように終盤でしょうね。後ろは早川になるかなという感じですね。

――春季オープン戦を通してメンバーを固定化していきたいというお話がありました。現状では二塁手、中堅手が固定できていません
 決め手がないですね。そうなると、三倉(進、スポ4=愛知・東邦)がケガしたのが大きいです。3番センターの予定でしたから。攻撃的にも非常にマイナスになりますね。レフト、ライトが決まらないならまだしも、センターラインが決まらないのは不安要素がありますよね。

――遊撃手では檜村篤史選手(スポ2=千葉・木更津総合)のスタメン起用が続きますが、檜村選手の守備を高く評価されているのではないでしょうか
 ショートは決まりですね。安定してますよ。堅実ですね。派手さはないけど堅実です。

――加藤雅樹選手(社2=東京・早実)を4番で使い続けることには高橋監督自身こだわりを持っているのではないですか
 こだわりはないですけど、当たれば一番飛びますからね。八木(健太郎、スポ4=東京・早実)なんかはきょうみたいに先頭でホームラン打ってくれますし、足もありますから。アベレージ的には4番も打てますけど、タイプとして1番ですね。そうなると加藤かなと。他にいるかといったらいないんでね。

――昨年から期待はかなりのものをお持ちだと思いますが
 打つことに関してはね。

――打線についてはもう少し奮起してほしいといった感じでしょうか
 奮起と言ってもねえ・・・打つのはあてになりませんからね。

――ことしのチームは始動時からかなりの練習量を消化してきていると思います
 今までよりはよくやってますけどね。でも結果が出ないと。結果が出なければ何もやってないと言われてしまいますから。結果次第ですね。

――2月中の豊富な練習量により、チームの仕上がりの早さを口にされていましたが、実戦で勝てないということは
 力がないということですね。
 ◎守り勝つ

――ことしの六大学全体を見渡していかがですか

 みんな入れ替わりだから始まってみないと分からないですね。


――開幕戦で法大、2戦目で明大という日程ですがどう感じていますか

 どことやっても一緒ですからね。今は東大に宮台(康平、4年)がいますし。五大学、どことやっても一緒だと思います。相手は意識しないですね。


――出だしで下馬評の高いこの2チームから勝ち点が取れれば乗っていけるのではないでしょうか。

 相手は関係なく、第1戦と第2戦で勝てれば乗っていけると思いますよ。でも8週ありますからね。長丁場で好調が持続するかというのもあります。


――先日の東京六大学ー社会人対抗戦で明治安田生命を完封した宮台投手については

 今季も厄介な相手ですね。他の大学も対東大にはまず宮台だと思います。


――そんな今季の六大学で早大がどれだけ勝負できるかは何に懸かっていると思われますか

 やっぱり投手力ですよ。ピッチャーがしっかり投げて抑えれば負けないですから。守り勝つということです。


――昨年は春秋ともに優勝を逃すシーズンとなりました

 ワセダとしてはことし意地でも勝たなきゃなりませんよね。それはもちろんあります。


――やはり開幕前は不安が大きいでしょうか

 そりゃあいつも不安ですよ。毎年です。「ことしは勝てる」なんて思って戦っている監督は少ないです。


――ことしのチームは真面目に練習に取り組み、雰囲気も良いと思います。長い指導経験を持つ高橋監督から見て、こういうチームは最終的にどう転ぶといった見方はありますか

 精神的にそういうチームは粘り強いですよね。そういう良さはあると思うんで、淡泊ではないと思います。なかなか勝てないとき、劣勢でもそれを跳ね除けてほしいですね。


――残された時間はわずかですが、春季リーグ戦開幕戦までにどうチームを立て直したいとお考えですか

 守りをしっかりして、『負けない野球』をしっかりできるチームにしていきたいと思いますね。

――ありがとうございました!(早稲田スポーツ新聞会 取材・編集 郡司幸耀)
 ◆高橋広(たかはし・ひろし) 1955年(昭30)2月4日生まれ。愛媛・西条高出身。1977年(昭52)教育学部卒業。早大野球部第19代監督。

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