【大学スポーツ】早稲田スポーツ新聞会

早稲田大学【春季リーグ戦開幕前特集】 第2回 檜村篤史

[ 2017年4月4日 05:30 ]

遊撃手というポジションについて語る檜村(C)早稲田スポーツ新聞会
Photo By 提供写真

 打球への反応、スローイングの正確さ、球際の強さ、どれを取っても一級品。例年スタメン争いが激しい内野で、抜群の守備力をもって遊撃手の座を射止めつつあるのは檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)だ。初めてのベンチ入り、さらには2年生にして初スタメンまで手が届くところまで登り詰めた男の胸中に迫る。

※この取材は3月30日に行われたものです。

 ◎ショートは思い入れのあるポジション

 ――入部して1年が経ちました。入部当初に比べて余裕は出てきましたか
 1年の時よりは余裕が出てきたと思います。けど、1年生に教える立場になったので、しっかり周りを見て、自分のこともそうなんですけど、周りのことも意識できるようにしたいです。

 ――1年生として過ごした一年間は長く感じましたか
 長く感じましたね。補助などいろいろ大変な部分があって。

 ――早川隆久投手(スポ1=千葉・木更津総合)が大学でもチームメートになりました。高校時代の先輩として頼られることはありますか
 この間話したときに、「ショートは檜村さんがいい」って言ってくれて。高校でも少し一緒に練習してきたので、そういうところでは頼りにされているのかな、と思います。

 ――いろいろとアドバイスされることはありますか
 自分も入部した時に何も分からなくて先輩に聞いたので、今度は自分がしっかり教えるようにしています。授業も、決める時期になったら教えたいと思います。

 ――2年目にして遊撃手の定位置をつかみつつありますが、入学前に思い描いていた予定と見合わせていかがですか
 入部したての頃はレベルの差を感じて「自分はまだまだだな」って思っていました。その後しっかり練習していって自分のレベルが上がっていって、2年生の春でリーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)に出場できそうなので、それは良かったなと思います。

 ――どういった面でレベルが上がったと感じますか
 それまでは土だったグラウンドが大学に入って人工芝になって、少し足が取られるというか。引っ掛かる感覚があって難しいなと思っていたんですけど、足をしっかり動かしてプレーできるようになったと思います。あとは、体幹が強くなって、三遊間の打球をしっかり取ってから踏ん張って投げれるようになったところです。

 ――守備では特にスローイングの強さと正確さが光ります。肩や送球には昔から自信がありましたか
 肩は前から強いほうでしたね。スローイングは、高2の秋に戦った浦和学院の津田くん(翔希、現東洋大2年)のスローイングがすごく良くて。自分もそれを身に付けたいと思って冬にノックを受けながら、ずっと「(ファーストの)胸にボールを投げる」っていうのを意識していました。それで送球が安定しているんじゃないかと思います。

 ――ボールの持ち替えも速く、ワンステップで送球していますが、普段の練習から意識されているのですか
 そうですね。(ボールを)捕ってから早く投げないとアウトにならないので、キャッチボールからすぐ投げるっていうのは意識してやっています。

 ――遊撃手は打球への一歩目が大事になるポジションだと思います。スタートを切る際に基準にしていることは
 感覚なので・・・。とりあえず、ピッチャーが投げて、(ボールが)バットに当たる直前にジャンプして動き出していますね。球のコースとかを見ながら。ファールでもスタートを切るように意識しています。バッターが振りにいこうとしているのを見たら動きます。

 ――前年度までは石井一成選手(平29スポ卒=現北海道日本ハムファイターズ)がショートを守っていました
 石井さんはドラフト2位でプロに入ってすごく憧れです。肩も体幹も強いですし、走投守の三拍子そろった選手で。自分もああなれたらなって思います。

 ――石井選手の在籍中に、技術を盗んだり教わったりしましたか
 守備練習のときに、投げる瞬間の左足をつまさきからベタっと地面に着けてたんですけど、人工芝はそれだと引っ掛かって危ないから、かかとから着けるイメージを持つということです。あとはゲッツーのときの三遊間の打球で、体が三塁方向に流れてしまうので、体幹を使って踏ん張って投げるようにっていうのはアドバイスしてもらいました。

 ――プロ野球で憧れの選手はいますか
 打撃面では内川聖一選手(福岡ソフトバンクホークス)ですね。長打も打てるし、当てにいく感じで短打も打てる。勝負強いバッティングっていうのがすごく光っているので、良い選手だなと思います。

 ――守備の方は
 守備では・・・そうですね、あんまりいないですね(笑)。

 ――遊撃手というポジションの魅力はどんなところだと思いますか
 内野の中でも一番花形というか。三遊間の深い打球を捕って投げて、肩を見せてアウトにするところですかね。小学校の時からずっとショートでやってきたので、ショートっていうポジションは特別というか、思い入れがあります。

 ――他のショートの見せ場とは、どんな場面でしょうか
 足を動かして、俊敏な動きを見せるところとか、あとは球出しの速さとかですかね。

 ――守備を買われての出場ですが、高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)からはどのような声を掛けられていますか
 送球のときのステップを、いままで右足を左足の後ろに入れてたんですけど、「(右足を)しっかり前に出せ」と言われて。それから強い球も投げれるようになって、一発で投げられることが増えてきました。

 ――富田直希選手(教2=東京・早実)と二遊間を守っていますが、相性や連携はいかがですか
 富田は同学年ということもあって、いろいろ話しやすい部分もあって。「いまのどうだった?」とかノックのときに聞いたりします。

 ――同学年ということでよくコミュニケーションをとられると思いますが、普段はどんなことを話しますか
 試合では真面目に話すんですけど、練習中とかは富田が結構面白いというか(笑)。ふざけたりするようなやつなので、いじりみたいなのを自分にしてきたりしますね。

 ――檜村選手はチーム内でもいじられ役なのでしょうか
 自分は真面目なほうなので、いじられるのはちょっとだけですね。

 ――試合前のルーティンはありますか
 打席に入る前に、トレーニングをしています。きのうからなんですけど(笑)、取り入れてみたら良い感じでした。

 ――どういったところに効果があるのでしょうか
 手首の返しが強くなりますね。

 ――打撃ではカベにぶつかったこともありましたか
 沖縄キャンプから合流して関西遠征まで行ったんですけど、その間1本しか打てなくて。狙い球を絞ったりするんですけど、それが外れまくって。全然打てなくてすごく落ち込んだんですけど、逆に開き直ってどんどん振っていくというのを意識して、あとはさっきのルーティンもやるようにしたら打てているので、良かったなと思います。

 ――これまでの打撃不調の要因とは、木製バットになったことも関係ありますか
 最初は木の打ち方っていうのを知らなくて・・・今もまだ分かってないと思うんですけど(笑)。そういうのがあるので、大変な部分もあると思います。ヘッドを返さないと飛ばないですし。金属だと根の部分に詰まっても飛ぶけど木だと飛ばない。芯で打たないといけないので。

 ――投手のレベルが格段に上がったというのも一因かと
 社会人とも試合をしましたが、球の質が違って。球種も、いままではカーブ、スライダー、真っすぐだけだったんですけど、いまはチェンジアップだったりフォークだったりもあるので。球の速さも140キロ超えとか結構レベルが高くて、大変です。

 ――打順では下位を任されることが多いですが、ご自身の役割をどう考えていますか
 9番は、1番につなぐ大事な役目ですね。進塁打とか、バントを1球目で決めるとか、チームに徹するバッティングはすごく必要になってくる打順だと思っています。

 ――高3時のセンバツでは4番打者で本塁打を放っていますが、今はその意識とは違った意識で打席に立っているのでしょうか
 ピッチャーのレベルも上がって自分では厳しい部分もあるので、ホームランを狙うというよりは、とりあえず振るというか。そういうチームバッティングをするというのもあるし、ランナーがいなかったらしっかりコンパクトに振るという意識をもってやっています。今、監督さんに言われてバットを短く持ってやっているんですけど、コンパクトに打つっていうのを心掛けています。

 ――その成果もあってか、先日の亜大戦では2安打の活躍を見せました
 前まではチェンジアップを三振することが多かったんですけど、この試合はチェンジアップをファールにすることができて。最後はアウトコースのチェンジアップが高めに浮いたのを三遊間に持っていくことができて良かったと思っています。

 ――きょうの立正大戦を振り返って、いかがでしたか
  打撃面ではチャンスで1本出て、1打点稼げました。きのうから打撃が良くなってきているんですけど、けん制でアウトにされてしまって。せっかく打ったのにそういうかたちでアウトになってしまってチャンスをつぶしてしまったので、そういうミスが起きないようにしっかりやっていきたいです。

 ――打撃面での手応えは感じていますか
 今のところは、そうですね。ちょっとずつ上がってきているので、いいかなと。

 ◎目標はノーエラー

 ――自身初のリーグ戦に臨むわけですが、気持ちは高ぶっていますか
 正直、出れるかまだ分からないので・・・。出たらとても緊張すると思うんですけど、頑張りたいなと思います。

 ――プレッシャーや緊張は感じるタイプですか
 その日になってみないと分からないですね。(緊張は)結構するほうだと思います。今のところは大丈夫ですけど(笑)。

 ――レギュラー争いの最中ですが、自信は
 守備ではたぶんできているほうだと思うし、それで今出させてもらっているので。打撃面では今はヒットが出ているのでいいんですけど、打てなくなった時のチームバッティングっていうのができれば、(リーグ戦に)出場できるかなと思います。

 ――リーグ戦の雰囲気は、外から見ていてどのようなものだと感じましたか
 応援がすごいなって思いましたね。伝統あるワセダの応援を受けながら自分がグラウンドでプレーするのはすごく憧れます。

 ――リーグ戦には、守備の名手でも失策してしまうほどの独特な緊張感がありますが、そのあたりに関して不安はありますか
 結構ありますね。自分も(エラーを)しちゃう方だと思っていて。集中しないとエラーしちゃうと思うので、しっかり集中したいと思います。

 ――どのようにチームに貢献していきたいですか
 2年生で出れることになったら、フレッシュさというか。下の学年なので、思いっ切りプレーして、周りに声を掛けて、やっていきたいと思います。

 ――リーグ戦で個人的に掲げている目標はありますか
 ノーエラーっていうのはしっかりやっていきたいなと。内野の要というショートを任されると思うので、ノーエラーで。

 ――最後に、リーグ戦に懸ける意気込みをお願いします
 昨年は5位と優勝できなかったので、今年は春からチーム一丸となって優勝目指して頑張りたいなと思います。

 ――ありがとうございました!(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会・大浦帆乃佳)

 ◆檜村篤史(ひむら・あつし) 1997年(平9)11月6日生まれ。181センチ、78キロ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部2年。内野手。右投右打。守備に絶対的な自信を持つ檜村選手のアピールポイントはもちろん『守備』。試合を意識した練習や、アドバイスをどんどん吸収することによって実力に磨きがかかるばかり。春の神宮で魅せる、華麗なグラブさばきに注目です。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る

早稲田スポーツ新聞会 公式ホームページ