日めくりプロ野球5月
【5月24日】1996年(平8) 鉄仮面が笑った…前田智徳、復活本塁打で帽子グルグル
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07年9月1日、広島市民球場の中日戦で2000本安打を放ち、一塁ベースを踏む広島・前田智徳。カープでの通算安打数は衣笠、山本浩二に次ぎ歴代3位となった
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【広島8−4巨人】1年ぶりの感触がいつまでも両手に残っていた。もしかしたらプロ初本塁打の時よりも感激したかもしれない。そんなことを思いながら、広島・前田智徳外野手はセンターの守備位置につくためにベンチから飛び出した。
「マエダ!マエダ!マエダ」。広島市民球場の2万3000人の観衆からコールが沸き起こった。感極まった。泣く場面、なのかもしれなかった。が、笑っていた。ヒットを打ってもちっとも嬉しそうな顔をしない“鉄仮面”が、笑顔になった。そしてかぶっていた赤い帽子を脱ぐと、右手でグルグル回して拍手と声援に思い切り応えた。
広島−巨人7回戦、3回裏一死一塁。5番に入った前田は2打席目に、巨人先発・木田優夫投手の142キロの真っ直ぐを左へ持って行った。清水隆之左翼手がフェンスギリギリに張り付くも、打球はスタンドに消えた。逆転のシーズン1号本塁打は同時に右アキレス腱断裂以来、387日ぶりに放った通算75本目の本塁打だった。これまでなら踏み込んで引っ張りにいっていた外角球を逆らわず左方向へもっていった一発は、足に負担をかけないために前田が考え抜いた上で実践した、新打法でもあった。
忘れもしない、ほぼ1年前の95年5月23日、神宮でのヤクルト7回戦。1回、二ゴロで一塁を駆け抜けた際にアキレス腱を切った。もともと痛みを感じて休み休み出場していた箇所がついに騙せなくなった瞬間だった。
「もう野球はできん。おしまいじゃ」。病院のベッドに横たわり、そんなことを毎日思った。95年のシーズンを犠牲にして治療に専念。縫合手術後のリハビリも孤独だった。
96年の開幕戦にはスタメンに名を連ねた。前田、復活。周囲は祝福したが、前田は落ち着かなかった。案の定、疲労で今度は右足太ももの肉離れを起こした。そしてこの巨人戦の直前にようやく復帰。もうこれでダメだったら…。まさに背水の陣の心境で立った打席だった。
「狙ったわけじゃないけど、木田さんの球に力があったから距離が出た。正直、一番うれしいホームラン。良かった、っていうのが本心」。弁が立つ方ではない熊本出身の“肥後もっこす”が言葉を選びながら話した。
6回には内野安打で出塁。再発したら今度こそ選手生命は絶たれるかもしれないという不安を全力疾走することで逆にかき消そうとした。続くロペス一塁手の右中間二塁打で、一塁から長駆生還。危険と背中合わせの走塁にホームランを打ったとき以上の歓声が市民球場にこだました。
前田の復活アーチと果敢な走塁に燃えたカープは14安打8点でジャイアンツを一蹴。首位中日に半ゲーム差に迫る快勝をみせた。
「バッティングは好きだが、野球は嫌い」「オレは3番打者。5番でもなければ、まして4番ではない」…。独特の“前田語録”とともに、歩んだ野球人生はケガと戦いながら08年で19年目を迎えた。
江藤智、金本知憲、新井貴浩…広島の主力選手が新天地を求めFA移籍する中、前田はカープ一筋で球団史上4人目の2000本安打を成し遂げた。孤高の天才打者の勝負強さはまだまだ健在。広島が17年ぶりに日本シリーズへ進むためには、欠かせない背番号1である。
| 1996年5月24日 | 広島−巨人7回戦 | 広島市民 | 巨人4勝3敗 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
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| 巨 人 | 0 |
2 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
| 広 島 | 2 |
0 |
2 |
0 |
0 |
2 |
0 |
2 |
X |
8 |
| 投 手 | |
| 巨 人 | 木田、●小原沢(2勝4敗)、柏田−吉原 |
| 広 島 | チェコ、○山内(2勝3敗)、前間、S佐々岡(2勝2敗8S)−西山 |
| 本塁打 | 前田1号、江藤7号(広)清水5号(巨) |
| 三塁打 | |
| 二塁打 | 野村(広)高村、松井、吉原(巨) |
| 巨 人 9安打5三振1四死球 0盗塁0失策6残塁 | |
| 広 島 14安打6三振9四死球 0盗塁1失策13残塁 | |
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